糖尿病を罹患する患者は、日本を含め世界各国で増加傾向にあります。米国においても同様で、同国ではとくに若年層での発症が増えつつあることへの懸念が広がっています。そうした指摘は、2001年~2009年の期間を対象とした調査結果などからなされていましたが、今回より最近の傾向を調べた結果が新たに報告されました。
2012年までの10年で有意に増加
この調査分析研究を実施したのは、Elizabeth J. Mayer-Davis氏らのグループで、研究成果をまとめた論文は「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に4月13日付で掲載されました。
研究グループは、米国における5つの研究センターから1型および2型糖尿病の症例データを入手、若年層人口については、米国国勢調査またはヘルスプランメンバーの数からデータを得て、毎年490万人の若年者が存在するという分母を採用しています。そして、2002年~2012年の10年間について年間発生率を計算、推移・傾向を一般化自己回帰移動平均モデルによって分析したそうです。
その結果、若年者の糖尿病発症例として、0~19歳の1型糖尿病が11,245例、10~19歳の2型糖尿病が2,846例確認されました。1型糖尿病の推定発生率は、年ごとに1.4%上昇しており、2002年~2003年には10万人あたり19.5例だったところ、2011年~2012年では10万人あたり21.7例の発現になっていました。
データ補正後の比較で、年増加率の上昇は、非ヒスパニックの白人の場合1.2%であるのに対し、ヒスパニック系では4.2%とより顕著であったことも報告されています。
少数人種・民族での増加率が高い傾向
2型糖尿病の発生率は、年ごとに7.1%の上昇をみせており、2002年~2003年は10万人の若年者に対して9.0例であったところ、2011年~2012年では10万人あたり12.5例にまで増えています。
結果に影響を与えうる要素を考慮したデータ補正後に、人種・民族間での比較を行ったところ、非ヒスパニック系白人では、年増加率が0.6%と、非ヒスパニック系黒人やアジア系、太平洋諸島民族、アメリカ先住民族などその他のグループに比べて大幅に低いことが判明しました。なおヒスパニック系では年3.1%の増加率でしたが、とくにアメリカ先住民族では年増加率が8.9%と際だって高かったそうです。
年齢や性別、人種および民族グループといった項目でのデータ調整を行った結果では、1型糖尿病の発症増加率は年率で1.8%、2型糖尿病で4.8%となっています。
これらの結果から研究グループでは、若年層における1型・2型糖尿病の発症が、2002年~2012年の10年間で有意に増加したと指摘、とくに社会的マイノリティの少数人種・民族での増加率が高い傾向がみられたとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

NEJM : Incidence Trends of Type 1 and Type 2 Diabetes among Youths, 2002-2012
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1610187