糖尿病治療は、生活習慣全般にわたる見直しを必要とするものであり、多様で細やかなアプローチによる介入、医療サポートが、その効果のほどを決める大きな要因になります。近年では通信インフラやデバイスの普及、技術進展に伴い、遠隔からの治療サポートも行われるようになってきました。
身近な通信技術によるコミュニケーションで治療効果がアップ
そうした互いに離れた場所にいる患者と医療者が、通信などによって密にコミュニケーションをとり、日々の治療調整・管理や生活指導を行っていくことでもたらされる治療効果について、これまで報告された研究結果をまとめて分析した結果が、「Canadian Medical Association Journal(CMAJ)」に3月6日付で掲載されました。
この調査研究を実施したのは、Labib Imran Faruque氏、Marcello Tonelli氏らのグループで、彼らは治療法を対象患者らに無作為で割り当てる方法により、遠隔からのケアを施した場合と、通常のケアのみを行った場合を比較した研究をデータベースから抽出、条件に適合する111件を分析対象としました。
収集されたデータは糖尿病患者23,648人分で、治療期間によって3カ月以下、4~12カ月、12カ月超の3グループに分類、HbA1c値のほか、QOL(生活の質)や死亡率、低血糖発現といった要素で治療効果を検討しています。
緩やかながらもHbA1c値が長期にわたって有意に改善
分析の結果、3カ月以下の実施で0.57%、4~12カ月の実施で0.28%、12カ月超の実施でも0.26%と、遠隔ケアを加えた場合、一般的な治療ケアのみの場合よりもHbA1c値が有意に低下、改善することが認められました。効果は緩やかなものですが、1年超という長期にわたっても、遠隔ケアの有効性が確認される結果となっています。
遠隔ケアとして、さまざまなコミュニケーション手段が試されていましたが、なかでもWebサイトやテキストによるメッセージングサービスを用い、投薬調整を細かく施したもの、ベースライン時のHbA1c値がより高い研究で優れた効果が認められる傾向にあったそうです。一方で今回の調査研究からは、QOLや死亡率、低血糖発現に対する遠隔ケアの有意な効果は認められませんでした。
糖尿病の病態をみるHbA1c値で、長期にわたり有意な効果が認められたことは、注目すべきところでしょう。今後も身近な通信デバイスを活用した治療サポートが充実していくことによって、個別化された適切な治療実践が容易となり、多くの患者さんに健康メリットをもたらすものとなることが期待されます。
(画像は写真素材 足成より)

CMAJ : Effect of telemedicine on glycated hemoglobin in diabetes : a systematic review and meta-analysis of randomized trials
http://www.cmaj.ca/content/189/9/E341.abstract