2型糖尿病の発症には、日常の食事スタイルや運動習慣などが大きく関与することが知られていますが、同じような生活習慣にあっても糖尿病を発症する人としない人があり、そこには遺伝的な要因が関係していると考えられています。
冠動脈疾患リスクが独立に上昇
遺伝的な面では、たとえばインスリンの働きが低下しやすい人や血糖値が上がりやすい、高血糖になりやすい人がいることが、これまでの研究から判明しています。もちろんそうした遺伝的素因をもつからといって、必ず糖尿病になるというわけではなく、あくまでひとつの要素であって、さまざまな要素・要因が複雑に関係し合って発症にいたります。
一方で、こうした血糖および代謝に関する遺伝的素因について、気になる最新の研究報告が「Diabetes Care」のオンライン版に3月15日付で掲載されました。それによると、遺伝的に高血糖となりやすい人では、冠動脈疾患の発症リスクが上昇するとされています。
この研究は、Jordi Merino氏らのグループによってなされたもので、糖尿病を発症していない133,010人を対象とする空腹時血糖のデータと、冠動脈疾患に関する63,746人の症例と130,681人の対照群データにおけるゲノムワイド関連解析のメタアナリシスから得られた要約レベルの統計データで分析を行っています。
なお分析にあたり、血中脂質や血圧、肥満といった他の冠動脈疾患発症にリスク因子として働くものと関連する遺伝子変異の型は除外したそうです。
良好な血糖コントロールが心血管の健康と関連か
検討の結果、空腹時血糖を上昇させる遺伝子変異に対する変数分析を行うと、変異が1mmol/L上昇することで、冠動脈疾患の発現率は1.43倍となることが推定値として算出されました。
この高血糖に関する遺伝子変異と冠動脈疾患の関連性は、その他の冠動脈疾患リスクと認められる因子を考慮して除外、データ補正を行った結果でも、1.33倍と有意に残ることが確認され、独立した関連性があることも分かりました。
一方で、12種類の高血糖につながる遺伝子変異は、2型糖尿病の発症リスクを有意に上昇させるとは認められず、罹患率も一定であったことが報告されています。
これらの結果から研究グループでは、高血糖に関する遺伝的な素因を有する場合、2型糖尿病やその他の冠動脈疾患リスクとは関係なく、独立して冠動脈疾患のリスクおよび罹患率を上昇させることになるとし、血糖コントロールが心血管の健康を保つ上で、重要なポイントとなっている可能性が示唆されたとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Genetically Driven Hyperglycemia Increases Risk of Coronary Artery Disease Separately From Type 2 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/