糖尿病は一度発症すると、基本的に完治させることが不可能です。インスリンを産生する膵臓のβ細胞は、いったんその機能が低下したり数が減少したりすると、自然にはもとに戻らないからです。しかし早期に十分な処置を行うなどすると、症状が好転し、落ち着いた状態、大きな支障をきたすことのない寛解に導くことはできます。
経口血糖降下薬とインスリン、生活習慣改善で短期ながらも寛解に
ですが、実際には寛解状態に至らせることも容易ではなく、長く糖尿病治療を行っていかなければならない状態にある人が多いことも事実です。そうした中、完全寛解や部分寛解の実現に関する、注目すべき研究報告が「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(JCEM)」のオンライン版に3月15日付で掲載されました。
研究は、Natalia Mclinnes氏らのグループによるもので、経口血糖降下薬とインスリン治療による薬物療法、生活上の食事療法、運動療法を組み合わせた強化療法を行うことで、2型糖尿病患者の一部はそれを克服できる可能性があることを示しています。
研究の対象となったのは、罹病期間が3年以内の2型糖尿病成人患者83人で、52週間のランダム化オープンラベル比較試験により、強化療法と標準治療の効果を、正常な血糖コントロールが維持される寛解の見地から比較・検討しています。
対象患者は、8週間の強化療法による治療介入を受ける群と、16週間の強化療法介入を受ける群、標準治療を受ける群の3群にランダムで割り付けられました。
対象となった期間、強化療法群では、それまでに用いていた糖尿病治療薬の服用は中止し、メトホルミンとアカルボース、インスリングラルギンを併用するものとしたほか、厳密な食事指導と運動プログラムの実施といった生活習慣改善のための個別介入を実施しています。
4割強で寛解または部分寛解、維持は困難も明るい光
その結果治療介入終了時点で、対照群となる標準治療の群で正常血糖値を達成した人が3.6%にとどまったのに対し、8週間の強化療法群は50.0%が達成、16週間の強化療法実施群では、70.4%が正常血糖値となるなど、優れた効果がみられました。
また治療介入終了後、12週経過した時点で、完全寛解または部分寛解といえる基準のHbA1c値を満たした患者の割合は、標準治療の群で14.3%だったのに対し、8週間の強化療法群では21.4%、16週間の強化療法群では40.7%となり、有意に多くなることが確認できたとされています。
今回の研究は、小規模な人数を対象としたものであるほか、一時的な寛解・部分寛解の達成を確認したものにとどまるものではありますが、研究グループでは、薬物療法と生活習慣の集中的な改善を並行して行う強化療法により、治療中の正常血糖値達成と持続的な体重減少が実現されることに加え、薬物投与などが不要となる寛解の実現可能性も高まると指摘、新たな治療レジメンとして、この方法を推奨するとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism : Piloting a Remission Strategy in Type 2 Diabetes: Results of a Randomized Controlled Trial
https://academic.oup.com/