2型糖尿病の発症には、食生活の乱れや運動不足をはじめとした不規則な生活が大きく関与していることが知られ、こうした生活が長く続いている場合、高いリスクを有するところとなると考えられています。
生活習慣指導など新制度導入を検討
こうした事実を受け、厚生労働省は生活保護を受けている家庭における糖尿病などの生活習慣病対策を強化するべく、新たな制度の導入を目指していく方針を固めました。7日に開催された「第5回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会」で、支援策の案がまとめられています。
公開されたデータによると、平成25年度のデータで、生活保護受給者における健診の受診者は108,441人で、その受診率は7.4%と、特定健診受診者全体の受診率が47.6%であったのに対し、著しく低い状態となっていますが、腹囲と血糖、脂質、血圧からメタボリックシンドロームと判定された人は、男性で32.7%、女性で17.5%、予備軍が男性15.7%、女性9.9%となり、一般の特定健診を受診した男性が、メタボリックシンドローム該当者21.0%、女性6.2%、予備軍の男性が17.4%、女性5.1%に対し、高い傾向が現れています。
また糖尿病でみると、HbA1cが5.6~6.5%未満のNGSPなどにあたる人が男性で32.4%、女性で34.2%、HbA1c6.5%以上の人が男性で14.5%、女性で10.2%となり、一般の特定健診受診者における男女に比べ有意に多く、高い糖尿病発症リスクを有している人が多いことが判明しました。
高血圧や脂質異常症でも同様の傾向がみられ、とくに脂質代謝異常を示す人と、糖尿病の高リスク群にあたる人の割合は、一般よりかなり高くなっています。自身の健康意識でも、「余り良くない」、「良くない」と回答している人が多く、仕事をもたない人では、さらに健康状態が良くない人が増加、この健康上の問題が就労状況に影響を及ぼし、さらに経済的困難を抱えるところとなっている可能性も示唆されています。
また、平成22年の食事や運動、社会活動の状況を調査した結果では、生活保護受給者の場合、一般世帯に比べて、栄養バランスのとれた食事など適切な食事習慣や運動習慣が確立されているケースが少なく、社会活動への参加も疎遠な傾向がみられています。
子どもの食生活や運動習慣、生活習慣にも影響が及んでおり、足立区の平成27年度に実施した調査では、生活困難世帯の場合、虫歯や肥満などの健康問題が生じやすくなっていること、将来における糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まる傾向があることが見出されました。
個別支援から暮らしに密着した幅広い支援へ
こうした現状を受け、厚生労働省では、従来のケースワーカーによる要医療と判断した人を支援する個別支援体制から、データ分析に基づくリスク保有者を含めた幅広い健康指導・支援体制を展開していくことを決定、具体的な制度や法改正、仕組みの構築を図っていくことを決めました。
今後は40~74歳の健診データやレセプト、その他健康データなどを利用して生活習慣病とその予備群を発見、受給者全体への健康支援戦略および方針を作成して、個別のアセスメントや支援計画を立案、生活スキルや健康意識、家庭の状況などを考慮し、さまざまな関係者が協働して生活習慣の指導や支援を進めていくとしています。
まずは自治体が実施している健康診断の受診を促し、その結果に基づいた生活習慣の改善が試みられるということで、さらには地域の社会資源や自治体の健康づくり施策との連携も実施、1年ごとの中間評価と複数年単位の最終評価を行いながら、PLAN・DO・CHECK・ACTIONのPDCAサイクルを効率よく効果的に回転させていく方針が示されました。
また、医療費などレセプトと健診データなどの各種データを用い、生活保護受給者の健康状態や医療費の調査・分析を実施して、適切な医療と支援の仕組みを実現していくため、全国の受給者にかかる匿名化された健康・医療データベースを整備することも予定されています。
(画像は検討会公開案参考資料より)

厚生労働省 第5回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会 資料 提供ページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000161109.htmlデータに基づいた生活保護受給者の健康管理支援について(案)参考資料
http://www.mhlw.go.jp/