糖尿病患者の中でも特に1型糖尿病の患者は、1日に何度もインスリン製剤を自己注入する必要があります。そのことが患者にとって大変な負担となっていますが、その負担を減らせるインスリン製剤が開発されるかもしれません。
体内で分解されにくい天然由来の人工インスリン
東海大学、東北大学および大阪大学の共同研究グループは4月11日、新規人工インスリンである「セレノインスリン」の化学合成に成功したと発表しました。
この「セレノインスリン」は、ウシの脾臓由来の天然インスリンに含まれる成分から、人工的に合成されたものです。最大の特徴は、天然インスリンと同等の生理活性をもちながら、体内のインスリン分解酵素に対して顕著な分解耐性をもっている、ということです。
これはつまり、この「セレノインスリン」を製剤として体内に注入した場合、分解されるまでの時間が長くなるため、薬効が長時間持続する可能性が非常に高いということです。
薬効の長時間持続により患者の自己注入回数が減らせる
もし薬効が長時間持続するインスリン製剤が開発されれば、糖尿病患者はインスリンを自己注入する間隔を長くすることができます。毎日インスリンを注入する回数を、それだけ減らせるというわけです。
1型糖尿病は若年時に発症することが多く、まだ幼い子どもが自分でインスリン製剤を、それも大抵の場合注射器で、1日に何回も注入しなければならないというのは、本当に大変です。その回数を、たとえば半分に減らすことができれば、それだけで患者の負担は文字通り半減します。
実際にインスリン製剤として、この「セレノインスリン」が製品化されるには、まだ時間がかかるものと思われますが、糖尿病患者の負担軽減となるよう、ぜひとも早い実用化が期待されます。
(画像はプレスリリースより)

東海大学・東北大学・大阪大学プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/