糖尿病の真の恐ろしさは合併症にあるともされ、糖尿病を発症するとさまざまな合併症を引き起こしやすくなるほか、その他の疾患リスクも増すことが知られてきています。中でも三大合併症のひとつである糖尿病性神経障害は、幅広い患者さんにみられるもので、手足のしびれや痛み、感覚の麻痺といった慢性的な症状が現れることから、生活の質(QOL)を著しく低下させてしまうものとなります。
痛みの緩和にはSNRIなどが有効か
そこで、こうした糖尿病性神経障害に伴う慢性的な痛みの緩和、疼痛の管理を図るため、薬剤を用いることも検討されますが、どのような薬剤を、どう用いていくことが適切なのか、それを探った最新の研究結果が「Neurology」オンライン版に3月24日付で掲載されました。
研究はJulie M. Waldfogel氏らのグループによるもので、研究グループでは、2011年から2015年10月12日までのPubMed、Cochrane Database of Systematic Reviewsにおける体系的レビュー、2013年1月1日から2016年5月24日までのPubMed、Embase、Cochrane Central Registerの主要な研究のための試験結果を対象に、あらためて査読、再調査を実施、適格性をもって抽象化されたデータ評価を行い、効果やリスク評価を実施しています。
57件の系統的レビュー、24件の公開試験、25件の未発表試験を含む106件の研究データを対象として、再調査と分析を行った結果、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の、抗うつ薬として用いられるデュロキセチンおよびベンラファキシンで、糖尿病性神経障害による慢性的な痛みの緩和に有効であることを示す中等度のエビデンスが得られたそうです。
より長期にわたる評価、QOLの観点からの研究・検討が必要
一方で、抗痙攣薬のプレガバリンやオキシカルバゼピン、三環系抗うつ薬、非定型オピオイド、ボツリヌス毒素といった薬剤では、プラセボに比べて痛みの緩和に有効である傾向はみられたものの、低いレベルのエビデンスしか得られなかったとされています。
効果のあるこれら薬物による副作用での死亡率は9%以上であったほか、いずれの試験も6カ月未満の短期間を対象としたものであったため、研究グループでは、今回の調査では生活の質に関する結論を出すことができなかったともしています。
結論として、糖尿病性神経障害に伴う痛みを軽減すべく、デュロキセチンやベンラファキシンを用いること、またプレガバリンやオキシカルバゼピン、三環系抗うつ薬、非定型オピオイド、ボツリヌス毒素を用いることは、プラセボに比較して有効であり、疼痛管理に活用できる可能性があるとしつつ、有効とされた薬剤でも副作用による投与中止率がかなり高かったこと、オピオイドでは重大なリスクもみられたことを報告、今後の研究において、より長期的な結果を評価し、患者のQOLという観点から推奨されるべき方法を見出していく必要があるとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Neurology : Pharmacotherapy for diabetic peripheral neuropathy pain and quality of life
http://www.neurology.org/