近年、さまざまな疾患の新たな診断法が開発されていくなかで、細胞外RNAというものに注目が集まっています。RNAは、かつて安定したかたちで細胞内にのみ存在するものと考えられていましたが、その後細胞外にも存在して活動、より複雑な役割と機能を果たしていることが分かってきたのです。
代謝マーカーとの関連性を調査
細胞外RNAは、とくにその多くが細胞間の情報伝達に深く関与しており、最近の研究ではがんや心血管疾患などの診断バイオマーカー、予後バイオマーカーとして活用できる可能性が見出されてきました。今回この細胞外RNAについて、インスリン抵抗性との関連性を検討した研究結果が報告されています。
研究は、Ravi Shah氏らのグループによってなされたもので、その成果は「Diabetes Care」オンライン版に2月9日付で掲載されました。研究グループは、Framingham Heart Study(FHS)という試験に参加した糖尿病を有しない2,317人について、同試験の子孫コホートから得られる各種血中の細胞外RNAと循環インスリンレベルで測定されるインスリン抵抗性のデータを収集し、関連性を検討しました。
肥満および過体重の若年層患者90人を対象とする別のコホートで、選択された細胞外RNAと代謝産物の測定も実行、候補となったマイクロRNAの生物学的性質については、コンピューターを用いて分析しています。
18の細胞外RNAがインスリン抵抗性に関連
FHS試験に参加した対象者の平均年齢は65.8歳で、女性が56%、平均BMI値は27.7kg/平方メートルでした。若年層対象の別コホートにおける参加者の平均年齢は15.5歳で、女性が60%、平均BMI値は33.8kg/平方メートルであったと報告されています。
分析の結果、FHS試験で見出された391種類の血液中を循環する細胞外RNAのうち、18種類がインスリン抵抗性と有意に関連することが判明しました。なお、18種類のうち16種類はマイクロRNAで、関連性は影響を与えうる年齢や性別、BMI値といった要素を考慮した、データ調整後の結果として確認されています。
マイクロRNA-122では、代謝産物と無関係に、成人におけるインスリン抵抗性と局所肥満、小児におけるインスリン抵抗性との関連性があることも見出されました。さらに経路分析によって、このマイクロRNA-122は、AMPK、ラパマイシンシグナル伝達標的、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼといったインスリン抵抗性経路の調節を含む代謝の調節に関わっていることも明らかとなったそうです。
これらの結果から研究グループでは、インスリン抵抗性をみる上での新たな循環因子として、細胞外RNAが有する役割の重要性がエビデンスをもって示されたと結論づけています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Extracellular RNAs Are Associated With Insulin Resistance and Metabolic Phenotypes
http://care.diabetesjournals.org/content/40/4/546