2型糖尿病の発症には、さまざまな要素が関連していますが、中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の量が多すぎたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の量が少なすぎたりする脂質異常症を生じている場合、リスクが高まることが知られています。
小型のHDL3より大型のHDL2がリスクと深く関連
HDLコレステロール値が高いと、動脈硬化を防ぐことができ、心血管系疾患も起こりにくくなるなど、糖尿病によって高まるリスクとの関連も深いため、チェックしておきたい値といえますが、このHDLコレステロールには種類があり、中でも小型のHDL3と大型のHDL2を比較すると、インスリン抵抗性の増大や2型糖尿病発症のリスクとの関わりは、HDL2の方がより深いとする新たな研究結果が、「Diabetes Research and Clinical Practice」のオンライン版に、3月21日付で掲載されました。
研究を行ったのは、Yasuharu Tabara氏らのグループで、糖尿病発症リスクを下げられる可能性が報告されているHDLコレステロールについて、サブクラスの種類により、そのリスク低減効果に差がみられるかどうかを観察研究で調べています。
研究グループは、まず脂質異常症の治療薬を服用していない8,365人を対象とし、ベースライン時のHDLコレステロール、LDLコレステロールの値を測定、サブクラス分析を実施し、インスリン抵抗性を評価した後、平均5年間の追跡調査を行って検討しました。
HDL2が高値であるほど糖尿病発症リスクは低減
分析の結果、大型のHDL2は、インスリン抵抗性と逆相関の関係にあることが認められましたが、小型のHDL3は、インスリン抵抗性と正の相関関係にあることが確認されました。2型糖尿病を有している患者に限定しても、同様の結果がみられています。
さらに、平均5年間の追跡調査における縦断的解析でも、HDL2値ではインスリン抵抗性の悪化と負の相関関係が見出されましたが、HDL3値の場合、インスリン抵抗性と正の相関を示すことが判明しました。
追跡期間中、新たに2型糖尿病と確定診断を受けたのは205人で、HDL2値が高値であるほど、発症リスクは低減しており、HDL2レベルと糖尿病の発症リスクも逆相関することが分かったとされています。
これらの結果から研究グループでは、善玉コレステロールが糖尿病を予防する機能を有している可能性は認められるが、糖尿病の発症やインスリン抵抗性の悪化に対する予後リスクをみるならば、小型のHDL3ではなく、大型のHDL2を参照することが有効であると考えられるとしました。
コレステロールと糖尿病の関係性について、新たな知見をもたらす成果であり、臨床的にも今後注目される報告といえるでしょう。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Research and Clinical Practice : Different inverse association of large high-density lipoprotein subclasses with exacerbation of insulin resistance and incidence of type 2 diabetes : The Nagahama study
http://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/