糖尿病においては合併症への対策が不可欠であり、とくに3大合併症として知られる、糖尿病性網膜症、神経障害、糖尿病性腎症を対象とした発症の抑制・重症化予防は、重要な課題となっています。
自治体の取り組み実施に向け、SIBをヘルスケア領域として本格初導入
そこでこうした社会問題ともなる糖尿病合併症の重症化予防が、自治体による取り組みでも進められており、地域に根ざしたさまざまな事業が展開されるようになりました。
こうしたなか、経済産業省が3月31日に発表したところによると、新たな官民連携の手法である「ソーシャル・インパクト・ボンド」(SIB)を導入を前提とした、糖尿病性腎症重症化予防事業の予算が、兵庫県神戸市の市議会において成立したとのことです。こうしたヘルスケア領域における、複数年度での事業実施を前提とした本格的SIBの導入は、国内初のことになります。
SIBは、民間資金を活用して実施する成果連動型の民間委託事業のことで、2010年に英国で初導入されて以降、同国を中心に活用されているほか、世界各国でも用いられる手法となってきています。社会的な課題の解決と、行政コストの削減を同時に目指すことができる点がポイントで、民間からの資金やノウハウにより革新的な社会課題解決型の事業活動を展開、事前の合意によって定められた一定の成果が達成された場合に、行政側が成果報酬を支払う仕組みです。
経済産業省では、ヘルスケア領域におけるSIB導入を推進すべく、まず平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業の一環として、公益財団法人日本財団及びケイスリー株式会社の協力のもと、検討を開始、神戸市、八王子市、株式会社DPPヘルスパートナーズ、株式会社キャンサースキャンとともに、平成29年度からの事業化を目指してきました。
また、今後の市場拡大などを見据えたファイナンス環境の整備面で、株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行との検討も開始しています。
病態の進行を防ぐ保健指導をより効果的に!
こうした経済産業省の取り組み・支援を受け、神戸市では糖尿病性腎症重症化予防事業を、SIBの活用を前提としたかたちで予算化、平成29年度予算として成立させるにいたりました。
今回の実施モデルでは、まず神戸市がサービス事業者と成果連動型の支払契約を締結します。事業者は資金提供者らから得た資金をもとに、中間支援組織と協力してプロジェクトを管理、糖尿病性腎症の患者さんで、とくに重症化リスクが高いと考えられる人を対象に、保健指導などを実施します。
その後、対象患者さんに対するこのプロジェクトの成果を、第三者評価機関がチェック、評価結果としてまとめて神戸市へと報告します。神戸市はサービス事業者へ、またサービス事業者は資金提供者らへ、最低保証の金額/成果に応じた金額の支払いを行うこととしています。
事業者によるプロジェクト実施では、食事療法をはじめとした保健指導を行い、高い重症化リスクを抱えた糖尿病性腎症の患者さんをサポート、生活習慣の改善により、病態の進行を防ぎ、人工透析への移行を予防する予定となっています。
著しいQOLの低下と健康状態の悪化を招く腎症の進行を防ぐサポートが受けられる点で、患者さんにとってうれしい取り組みであり、医療費の増大や事業コストの膨張を防ぎながら、住民の健康福祉を充実させられる点で、国や自治体、社会全体にとってもメリットの高いものとなるでしょう。こうした事業は、今後も各地で積極的に展開されていくことが望まれます。
(画像はプレスリリースより)

経済産業省 ニュースリリース(プレスリリース)
http://www.meti.go.jp/