2型糖尿病の発症や症状進行に、食事や運動をはじめとする生活習慣が深く関与していることはよく知られています。そのため症状の抑制や改善、合併症などのリスクを低減するには、薬物療法による治療だけでなく、食事療法や運動療法などとのバランスをとった治療計画をとっていく必要があります。
日本人対象の横断研究でより複雑な因子がリスクに関与することが明らかに
しかし、そうした直接的に影響を与えることが判明している生活習慣因子だけでなく、より多方面にわたる生活のパターンが、2型糖尿病患者の抱えるリスクを左右していることを示唆する最新の研究結果が報告されました。
これは、Takeshi Ogihara氏、Tomoya Mita氏らの研究グループによって行われた日本人を対象とする横断研究の成果で、研究結果をまとめた論文が「PLOS ONE」オンライン版に3月8日付で掲載されています。
研究グループは、心血管疾患の既往がなく2型糖尿病を有する日本人外来患者726人を対象に、夜型・朝型といった生活リズムや睡眠状況、抑うつ状態や身体活動の程度、食習慣、喫煙・飲酒習慣など、幅広い生活パターンを調べ、心臓および腎臓の代謝パラメータとの関連性を分析、検討しました。
対象となった患者の年齢は25~70歳で、平均年齢が57.8歳、男性が57.8%、HbA1c値の平均値は7.0%でした。対象患者には、生活パターンに関するアンケート調査への回答と生化学的検査を受けてもらっています。
生活パターン全体での改善を目指す介入が必要
研究グループがまず行った探索的因子分析の結果、対象患者の生活パターンにおける因子は、3つに分類されることが分かりました。1型パターンは、夜型または朝型の生活リズム、睡眠の質、抑うつ状態で、2型パターンは、食事によるエネルギー摂取量と喫煙・飲酒習慣の有無、3型パターンは身体活動量に関わるものです。
このパターングループ特徴で分析すると、1型の朝型または夜型生活リズムで睡眠不足状態にあり、抑うつ傾向がみられる患者では、HbA1c値が高レベルになっていたほか、アラニンアミノトランスフェラーゼとアルブミン尿症状がみられたそうです。
また2型パターンの食品、たばこ、アルコールを多く摂取する患者では、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、トリグリセリド(中性脂肪)、HDLコレステロール、血圧、脈間脈波伝播速度といった検査値が高くなっていました。
一方3型パターンの身体活動量が多い患者では、尿酸値が低く、アラニンアミノトランスフェラーゼとアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが軽度ながら上昇傾向にあったと報告されています。
この結果を、さらに年齢や性別などを調整した多変量回帰分析を施して検討したところ、1型パターンの生活を送る患者では、HbA1c値や収縮期血圧、脈間脈波伝播速度値の上昇との有意な関連性が認められ、2型パターンの患者では、HDLコレステロールや中性脂肪、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、拡張期血圧の値における上昇との関連があることが確認されました。
こうした一連の結果から研究グループでは、各個人においては特定の生活パターンを繰り返す傾向があるが、2型糖尿病患者については心臓および腎臓の代謝パラメータに関するパターンとして3つのものが同定でき、それらの因子が複雑に絡み合ってリスクに影響を与えていることが示唆されたとしています。
心血管疾患のリスク低減などを図るには、生活習慣全般にわたるパターンの改善が必要であり、そうした包括的な治療介入、サポートが効果的であることを示した点で、この研究は注目すべき内容を含んでいるといえそうです。
(画像は写真素材 足成より)

PLOS ONE : Relationships between lifestyle patterns and cardio-renal-metabolic parameters in patients with type 2 diabetes mellitus : A cross-sectional study
http://journals.plos.org/