糖尿病を発症すると、心血管系疾患のリスクが高まることが知られています。心筋梗塞や狭心症、急性心不全など、この心血管系疾患での死亡率も、糖尿病患者の場合、そうでない人に比べて高い傾向が出ています。そのため、こうした健康リスクを低減するためにも糖尿病の予防・進行抑制に努めることが大切なのです。
慢性心不全患者で影響を検討
こうした糖尿病と心血管系疾患の関係について、高齢化とともに増加してきている慢性心不全患者に注目し、その転帰に糖尿病が及ぼす影響を検討した研究報告が、「Diabetes Care」オンライン版に3月2日付で掲載されました。
研究は、Marco Dauriz氏らのグループによって行われたもので、1年後における入院を要する主要心血管系疾患の発症率や全死因による死亡などを調べ、有害な転帰のリスクを糖尿病の有無で前向きコホート研究により、比較検討しています。
対象としたのは、欧州心臓病学会、欧州心不全協会に登録された慢性心不全の外来患者として登録されている、多国籍の9,428人です。この患者のうち、36.5%にあたる3,440人が糖尿病患者でもありました。
糖尿病が転帰悪化リスクを顕著に増大させると判明
その結果、糖尿病を有しない慢性心不全患者と、糖尿病と慢性心不全を併せもっている患者との比較で、糖尿病を併存した患者では、1年間の全死因による死亡率が9.4%と、糖尿病をもたない患者の7.2%に対し、有意に高く、そのハザード比は1.28となっていました。
心血管系疾患による死亡も、糖尿病を併存する場合4.8%、糖尿病なしの場合3.8%となり、ハザード比は1.28、入院を要する心不全の発生は、糖尿病を併存する患者で13.8%にみられ、糖尿病を有しない患者では9.3%にとどまっていました。こちらのハザード比は1.37です。
これらの分析は、いずれも結果に影響を与えうる因子での調整を行った上でなされており、年齢や性別、BMI指数、喫煙の有無、収縮期血圧、推定糸球体濾過率、ヘモグロビン値、心不全の病因、左室の放出率、高血圧、スタチンの使用有無、脳卒中や慢性閉塞性肺疾患といった病歴などとは無関係に、独立して認められる関連性であったことが報告されています。
また、ベースラインでHbA1c値の測定値が入手できた、慢性心不全患者2,567人を対象とした解析では、HbA1c値のレベルと、1年後の生存に関する転帰との間に、独立した有意な関係性があることも認められたそうです。
研究グループではこれらの結果から、糖尿病を併せもっていると、その他複数のリスク要因とは無関係に、慢性心不全患者にとって有害な臨床転帰リスクが著しく増加することになると結論づけ、慢性心不全患者では、より効果的かつ個別化された糖尿病治療を行っていくべきだとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Association Between Diabetes and 1-Year Adverse Clinical Outcomes in a Multinational Cohort of Ambulatory Patients With Chronic Heart Failure : Results From the ESC-HFA Heart Failure Long-Term Registry
http://care.diabetesjournals.org/