糖尿病を発症すると、高血糖状態が繰り返されることにより、全身の血管が傷つけられ心血管疾患のリスクが高まることが知られています。しかし糖尿病有病者でなくても、糖尿病の一般的指標として用いられているHbA1c値が高い場合、同様の血管障害リスクが生じているようです。
HbA1c値が大動脈の動脈壁硬化と関連
「Diabetes Care」に今年1月、掲載された最新の研究によると、糖尿病を発症しているかどうかに関わらず、HbA1c値の高値は、大動脈における動脈壁硬化の進行と関連していることが明らかとなりました。
動脈壁硬化は動脈スティフネスとも呼ばれる症状で、動脈の壁が固くなり伸展性を失った状態をいいます。この硬化の伸展を背景に動脈硬化も進み、脳梗塞・脳出血といった脳血管障害、心筋梗塞、動脈瘤などの心血管疾患が発現しやすくなるほか、大動脈の場合、大血管疾患の発症や予後予測と関連、死亡リスクとも深く関係していることが注目されてきています。
この研究は、Carmel M. McEniery氏らによるグループが行ったもので、「Whitehall II Study」という研究に参加した、非糖尿病患者の4,386人を対象とした追跡調査研究です。研究グループは、2008~2009年をベースラインに、対象者のグルコース代謝状態と心血管リスク因子、頸動脈から大腿動脈への脈波伝播速度(cfPWV)を評価し、2012~2013年までのフォローアップで検討を行いました。
HbA1c値に健康目安としての注目を!
研究対象者の平均年齢は60歳で、74%が男性、4年間の追跡期間中、頸動脈から大腿動脈への脈波伝播速度(cfPWV)は、平均で8.30から8.98に増加していました。ベースライン時点で、空腹時血糖と食後2時間の負荷血糖値、HbA1c値、インスリン抵抗性を示すHOMA-IRといった数値の間には、有意な関連性が認められています。
検討の結果、影響を与えうる生理学的な交絡因子や心血管リスク因子を考慮し、調整を施した状態での解析で、HbA1c値とHOMA-IRは、cfPWVの進行と有意に関連していることが明らかになりました。
またBMI指数による調整を追加した場合の解析結果では、HOMA-IRとcfPWVの進行との間の関連性が弱まる傾向がみられたものの、HbA1c値とcfPWV進行との間の関連は変わらず保たれることが確認されています。
これらの結果から研究グループでは、糖尿病の発症有無に関わらず、HbA1c値は大動脈における動脈壁硬化の亢進と独立に関連することが判明したとし、糖尿病でない人もHbA1c値に注意すること、長期的な血糖代謝状態を良好に保つよう心がけることが、血管の老化を防ぎ、健康を維持することにつながると指摘しました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Nondiabetic Glucometabolic Status and Progression of Aortic Stiffness : The Whitehall II Study
http://care.diabetesjournals.org/