重篤な低血糖リスクが約2倍に上昇との報告
糖尿病治療で用いられる強化血糖降下療法ですが、高齢であったり、重篤な慢性疾患を複数有したりしている2型糖尿病患者の場合では、入院などの治療を必要とする深刻な低血糖を生じる可能性が有意に高くなることが、新たな研究によって示されました。
この研究は、6日の「JAMA Internal Medicine」オンライン版に掲載されたRozalina G. McCoy博士らによるものです。低血糖は、糖尿病治療における重大な合併症のひとつであり、低血糖を生じると、患者のQOLが著しく低下するほか、心血管イベントや認知症リスクを増大させることにもなり、死亡に至る危険性も高めてしまうとされています。
研究チームでは今回、HbA1c目標値7.0%未満を達成し、維持することができている2型糖尿病患者で、インスリン治療歴がなく、重篤な低血糖もしくは高血糖の既往もない18歳以上の米国人、31,542人を対象として、後ろ向きデータ解析を実行しました。なお、インスリン治療歴や低血糖・高血糖の既往は、これまでの研究により、その後の低血糖リスクを上昇させることが判明しているため、対象から外されています。
これら対象となった患者のうち、75歳以上の高齢患者と、認知症や末期腎不全といった慢性疾患を3つまたはそれ以上併発している患者は合わせて3,910人で、その約19%が強化血糖降下療法を受けていました。また、これらに該当しない患者では、26%以上が同療法を受けていたといいます。
過剰なコントロール治療は危険!患者個々に合った治療を実現することが重要に
研究チームによる解析の結果、高齢の2型糖尿病患者と慢性疾患を複数合併症としてもつ2型糖尿病患者の場合、それ以外の患者に比べ、強化血糖降下療法を行うと、重篤な低血糖を発症するリスクがおよそ2倍になり、その後2年間の低血糖リスクは77%も上昇していることが明らかになりました。
Rozalina G. McCoy博士は、今回の研究における低血糖が、自宅で対応可能な軽度から中等度のものを含まず、入院などの措置が必要な重篤なものに限っている点を重要なポイントとして挙げ、過剰なコントロール治療をとることが、糖尿病患者の負担を増やし、重大な障害や死亡につながりかねない低血糖リスクを高めていると指摘、全身の健康状態に無視できない深刻な影響を与えるものとなっている可能性があるとしています。
そして、2型糖尿病患者のメリットのためにも、医療費増大の問題に対処するためにも、今後はより個々の状態に合った個別化医療を実現し、治療にあたっていく必要があると結論づけました。
(画像はイメージです)

「JAMA Internal Medicine」 Intensive Treatment and Severe Hypoglycemia Among Adults With Type 2 Diabetes(該当論文)
http://archinte.jamanetwork.com/2526670