糖尿病を罹患する患者の数は、いまや世界で4億1,500万人にも及ぶとされ、さらに増加を続けていることから、2040年までには実に成人の10人に1人となる6億4,200万人となると予測されています。さまざまな合併症や疾患リスクの上昇で、個々の患者における健康面はもちろん、ひいては社会全体の活動に悪影響が及ぶことが懸念されますが、一方で糖尿病治療も日々進化を遂げています。
死亡率が51%低下、入院リスクも減少
AstraZeneca(アストラゼネカ)は英国時間の19日、糖尿病治療薬のSGLT阻害薬による治療を受けた2型糖尿病患者で心不全による入院と死亡のリスクを評価した、大規模なリアルワールドエビデンス試験「CVD-REAL試験」の結果を公開しました。
「CVD-REAL試験」は、世界6カ国300,000人超の2型糖尿病患者を対象に実施されたもので、対象者全体の87%には、ベースライン時で心血管系疾患の既往歴はありませんでした。患者らには、同社のSGLT2阻害薬である「Farxiga(フォシーガ)」(一般名・ダパグリフロジン)、カナグリフロジン、エンパグリフロジンによる治療を受けてもらっています。
その結果、SGLT2阻害薬を用いた患者群では、他の治療薬を用いた群に比べ、心不全による入院の発生率を39%低減できたほか、全死因による死亡率を51%下げることができたそうです。また心不全による入院の発生と全死因による死亡の複合評価項目における減少率は、46%であったとも報告されています。
広範な患者で心不全リスクが減少
心不全による入院が発生した率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国、米国の患者における匿名データを用いて行われており、データの内訳は、「Farxiga」投与が全患者のうち41.8%、カナグリフロジン投与が52.7%、エンパグリフロジン投与が5.5%でした。
一方、全死因による死亡率の解析に用いられたデータは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国、米国が対象で、「Farxiga」投与が51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%となっています。
AstraZenecaのBruce Cooper博士は、今回の結果について、SGLT2阻害剤を用いた治療が、広範でリスクの低い糖尿病患者における心不全での入院発生率や死亡率を約半分にまで低減することを示した点で、きわめて興味深いものであるとしました。
「CVD-REAL試験」における比較解析は、今回公表されたものが初の結果であり、今後もデータ収集とともに解析が続行される予定です。AstraZenecaでは、臨床由来の個人が特定されないデータで、他の国々のデータセットも加えながら複数の解析を実施していくことを明かしています。
より良い治療法を見出すため、さらなるエビデンスの収集・開示状況が注視されます。
(画像はAstraZeneca ホームページより)

AstraZeneca プレスリリース
https://www.astrazeneca.com/