世界各地で患者数の著しい増加が報告され、大きな社会問題伴ってきている糖尿病ですが、いまだ患者の3人に1人は自らが糖尿病であることに気づいていないともいわれ、知らず知らず病態が進行していってしまうことが懸念されています。
重度歯周病患者では約半数が糖尿病前症
こうした隠れた糖尿病を発見し、早期に治療を開始することは、糖尿病に由来するさまざまな合併症を予防、健康寿命を延伸することにつながるため、非常に重要なことなのですが、そのスクリーニングとして口腔内の健康状態をみることが注目されてきています。
その有効性を示唆する最新の研究成果をまとめた論文は、「BMJ Open Diabetes Research & Care」の1月号に掲載されました。研究を実施したのはWijnand J Teeuw氏らのグループで、内容は大学病院の歯科にかかった313人の患者を対象とした調査研究となっています。
被験者313人のうち、軽度または中等度の歯周病患者は126人、重度の歯周病を有する人は78人、非歯周病患者は109人でした。研究グループは、彼ら全員のHbA1c値を測定し、糖尿病前症や糖尿病の罹患率に関する分析を行っています。
歯周病と糖尿病には深い関連性あり
その結果、軽度または中等度の歯周病患者群ではHbA1c値の平均値が6.1%で、重度の歯周病患者群では6.3%でした。歯周病を有しない比較対照群では5.7%であったため、歯周病患者の方が高い傾向となっています。
さらに米国糖尿病学会(ADA)の診断ガイドラインに基づいて判断すると、重度の歯周病患者群では、23%に糖尿病の疑いがあり、47%が糖尿病前症とみられる結果になったそうです。軽度および中等度の歯周病患者でも、糖尿病の疑いがある人が14%、糖尿病前症の疑いが46%となり、歯周病を有しない比較対照群の糖尿病が疑われる10%、糖尿病前症とみられる37%よりも有意に多く見出されました。
とくに本人が糖尿病と自覚していない新規の糖尿病が疑われる患者は、重度の歯周病患者群で18.1%と、軽度または中等度の歯周病患者群における9.9%、非歯周病患者の比較対照群における8.5%に比べて、非常に多くなっていたことも報告されています。
これらの結果から研究グループでは、重度の歯周病患者の場合、かなりの数の糖尿病前症、潜在的な糖尿病がみられるとし、歯科医院が糖尿病の新たなスクリーニングに適した場所となる可能性があると指摘、早期診断と治療開始に活かしていけるのではないかとしました。
糖尿病はほとんど自覚症状のないままに進行する疾患ですから、こうしたさまざまな角度から、早期の徴候をとらえていくことが、今後より重要となってくると考えられます。歯周病を指摘されている人は、糖尿病にも意識を向けてみるとよいかもしれません。
(画像は写真素材 足成より)

BMJ Open Diabetes Research & Care : Periodontitis as a possible early sign of diabetes mellitus
http://drc.bmj.com/content/5/1/e000326