糖尿病は合併症が恐ろしい病気として知られていますが、中でも糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、神経障害は3大合併症とされ、その発症や進行を抑制することが、しばしば大きな治療課題になっています。
ラニビズマブが悪化抑制に有効
この3大合併症にも含まれる糖尿病性網膜症に対しては、現在、進行の程度などにより、レーザー治療や硝子体手術などでの治療が行われています。また薬剤による治療も始まっており、加齢黄斑変性などにも用いられる網膜障害治療薬として、ラニビズマブと呼ばれるものがあります。
このラニビズマブについて、一般的なレーザー治療として進行を抑制するために行われている汎網膜光凝固術(PRP)と、いずれが増殖糖尿病性網膜症の悪化抑制に有用であるか、検討した研究結果が「Ophthalmology」オンライン版の2月1日号に掲載されています。
研究は、Susan B. Bressler氏らのグループによるもので、増殖糖尿病性網膜症を発症し、視力が20/320かそれよりよい状態であって、ベースラインで汎網膜光凝固術を受けた経験のない患者305人を対象としています。
研究グループは患者を、汎網膜光凝固術を受ける群と、硝子体内へのラニビズマブ注射を受ける群とにランダムで割り付け、それぞれの状態を2年間にわたり調査、硝子体出血や網膜剥離、前眼部血管新生、新血管性緑内障の発現などで網膜症の悪化状態を評価し、比較検討を行いました。
少なくとも2年はラニビズマブが有効か
その結果、2年間での増殖糖尿病性網膜症の悪化累積率は、汎網膜光凝固術群で42%、ラニビズマブ投与群で34%となり、ラニビズマブがPRP施術よりも悪化を抑制できることが分かりました。
なおいずれの治療を行った群であるかに関わらず、初期糖尿病性網膜症治療研究スケールのベースラインレベルで、重症度が進んでいるほど、さらなる悪化のリスク増と関連していることも明らかとなり、早期の治療開始が重要であることも示されました。
汎網膜光凝固術を施した群では、パターンスキャンを受けた場合、従来のシングルスポットPRPの場合のいずれでも、増殖糖尿病性網膜症の悪化リスクが高まっており、PRPのスポット数などとは関わりなくその傾向が認められたそうです。
いずれの群においても、ベースラインで糖尿病性黄斑浮腫を生じており、20/32以上の視力悪化を生じている患者の場合では、ラニビズマブの投与が必要となり、そのため、こうした視力障害を生じていない患者に絞り込んで複合結果比較をあらためて行った結果、糖尿病性網膜症の悪化率は、汎網膜光凝固術の施術群が45%、ラニビズマブ投与群が31%となり、ラニビズマブ投与の方が悪化抑制に対して有用であることが、有意に示されるものとなったとされています。
こうした結果から研究グループでは、ラニビズマブ投与を行う抗血管内皮成長因子療法は、レーザー治療の汎網膜光凝固術の施術療法などに比べ、頻繁に通院してもらう必要が生じるものの、少なくとも2年までは代替療法として、ラニビズマブを用いることが、症状の悪化抑制に有効である可能性が高いと指摘しました。
(画像は写真素材 足成より)

Ophthalmology : Factors Associated with Worsening Proliferative Diabetic Retinopathy in Eyes Treated with Panretinal Photocoagulation or Ranibizumab
http://www.aaojournal.org/