糖尿病の場合、3大合併症に糖尿病性網膜症が挙げられることをはじめとして、眼疾患との強い関連性があることが知られています。こうした糖尿病の合併症として発症した眼疾患から、深刻な視力障害や失明にいたるケースも少なくなく、糖尿病患者は定期的な眼科検診により異常を早期に発見し、必要と判断されれば、適切な治療を受けていくことが重要です。
血糖コントロールレベルと感染性眼疾患の関連性を検討
1型糖尿病患者でも2型糖尿病患者でも、非糖尿病者に比べると眼疾患を発症しやすく、眼の感染症にかかる人も多いことが、これまでの観察報告で明らかになっています。血糖値の低下とリスクに関連性があるといった報告もありますが、これまでのところ、そのデータは体系的に集められておらず、糖尿病と感染性の眼疾患との関連性、血糖コントロールにおける状態とそのリスクなど、詳細について明らかにした研究はありませんでした。
そこで、これらの点について検討するコホート研究をAbdus Samad Ansari氏らの研究チームが実施、その結果をまとめた論文が「Diabetes Care」に2016年12月29日付で掲載されています。
研究チームは、Royal College of General Practitioners Researchおよび監視センターのデータベースを用い、糖尿病の罹患と感染性眼疾患の発症について関連性を調べるコホート研究と、糖尿病患者を対象にした血糖コントロールレベルが感染性眼疾患に与える影響をみるコホート研究の2本を実施しました。なお血糖コントロール状態は、HbA1c値の単独測定値と、6年間のHbA1c値が描くカーブ領域から測定しています。
結膜炎の発症リスクと関連、ほかは有意な関連性を認めず
研究チームは、総計で938,440人分のデータを分析、このうち48,584人が糖尿病患者で、1型糖尿病の患者は3,273人、2型糖尿病の患者は45,311人でした。
すると、性別や年齢、人種、喫煙習慣、BMI指数、結合組織における障害、糖尿病性網膜症の発症程度、黄斑変性の有無など、影響を与える複数の因子を調整した解析後の結果で、1型・2型糖尿病の有無は、結膜炎の発症率と有意に関連することが判明しました。そのオッズ比は1.61でした。
一方で眼瞼炎や麦粒腫など他の感染性眼疾患との、統計学的に有意な関連性は認められず、また血糖コントロールレベルも、いずれの感染性眼疾患の症状と有意に関連するものではありませんでした。
全体として、予測されたほどの関連性は見出されなかったものの、糖尿病患者では、より結膜炎症状が発現しやすいことは確認されました。結膜炎は患者数も多い一般的な眼科の疾患ですが、重症化すると、やはり視力障害を引き起こすこともあります。充血やかゆみ、目やになど異常を感じたら早めに医療機関を受診するよう心がけ、日頃から眼の健康にも気を配るようにしましょう。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Association Between Diabetes, Level of Glycemic Control, and Eye Infection : A Cohort Study
http://care.diabetesjournals.org/