近年、加齢や疾患により、全身の筋肉量が減少して身体機能が低下、歩行に困難を生じたり、飲み込む力が低下したりと、日常生活に支障をきたすようになるサルコペニアが注目を集めています。高齢者に多い病態で、健康寿命延伸の観点から早期の予防対策が訴えられていますが、メタボリックシンドローム症候群であり、かつ筋肉の少ない人の場合、中年層から注意しておかなくてはなりません。
サルコペニア病態の患者ではアルブミン尿発現が高い割合に
サルコペニアの予防には、バランスの良い食事と適切な運動が有効であり、糖尿病の予防や進行防止ともつながるところが多いとされていますが、このサルコペニアと2型糖尿病をあわせもつと、さらにアルブミン尿の発現リスクが増大するという報告が最新の研究成果としてなされ、関心を呼んでいます。
この研究は、Ryotaro Bouchi氏らの研究チームによる後ろ向き観察で、その解析・検討結果をまとめた論文が「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に、1月28日付で掲載されました。
アルブミン尿は、糖尿病性腎症の早期においてみられる病態で、腎臓の濾過機能が低下することによって発現します。糖尿病性腎症は、慢性の高血糖状態が持続することで引き起こされる細小血管障害のひとつであり、糖尿病の主な合併症として知られている疾患です。進行すると腎不全にいたり、透析を行わなくてはならなくなります。
また、アルブミン尿が心血管イベントの発現リスクを高めることもこれまでの研究で明らかになっており、糖尿病でも心血管イベントリスクは高まることから、合併症の進行、予後に大きな影響を与える指標として、アルブミン尿には注意しておく必要があります。
今回の研究により、このアルブミン尿の発現リスクが、サルコペニアを有する2型糖尿病患者の場合、そうでない人よりもより高くなること、それぞれの病態の進行に関連性があることが分かりました。
サルコペニア病態にも注意!兆候がみられたら早期に介入・対策を
研究チームは、2012年~2016年の間に登録された2型糖尿病患者238人のデータをもとに、中央値2.6年の追跡期間で後ろ向き観察研究を実施、サルコペニア病態とアルブミン尿発現との関連性を検討しました。対象者の平均年齢は64歳で、女性が39.2%、サルコペニアの有病率は17.6%だったと報告されています。
追跡期間中、尿中のアルブミン定量測定検査は平均5.8回実施され、ベースラインで正常だった患者の14.9%、微量アルブミン尿患者の11.5%でアルブミン尿の進行が確認されました。
対象患者のうち、サルコペニアと2型糖尿病をあわせもつ患者の群では、サルコペニアを有しない群に比べ、アルブミン尿の発現リスクが有意に上昇することが分かったそうです。
また、結果に影響を与えうる因子を調整して行った多変量Cox回帰分析の結果、サルコペニア病態の進行はアルブミン尿の進行と有意に関連し、同じくサルコペニア病態の改善もアルブミン尿の改善と有意に関連することも見出されました。
これらの結果から研究チームでは、なぜサルコペニアがアルブミンの発現リスクを上昇させるか、詳細なメカニズムは依然不明であるものの、有意な関連性があることは明らかであることから、2型糖尿病患者にサルコペニアの病態がみられた場合は、早期の介入・対策を行うべきだとしています。
(画像は写真素材 足成より)

Journal of Diabetes Investigation : Sarcopenia Is Associated with Incident Albuminuria in Patients with Type 2 Diabetes : A Retrospective Observational Study
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12636/full