2型糖尿病とその他の疾患との間には、さまざまな関連性が見出されており、意外な組み合わせに思えるものであっても、それぞれがリスクを高め合っている可能性があるとの指摘もなされるようになっています。
今年のECCO発表で膵臓がんとの関連性が話題に
この知見もまた、そうした中の新しいひとつとして高い関心を集めるところとなるでしょう。今年の1月27日~30日にかけてオランダ・アムステルダムで開催された「European Cancer Congress 2017(ECCO 2017)」において、2型糖尿病の発症や急速な病態の進行は、膵臓がんの初期兆候でもあり得るという研究報告が発表されました。
この研究はフランスのInternational Prevention Research Instituteに属するAlice Koechlin氏、Philippe Autier教授らによってなされたもので、2008年~2013年のベルギーにおける2型糖尿病患者368,377人と、2008年~2012年のイタリア・ロンバルディア州における2型糖尿病患者456,311人のデータを抽出、それぞれの地域におけるがんの登録データや病院のデータベースとつき合わせ、膵臓がんとの関連性について検討を行いました。
調査期間中に診断された膵臓がんは、ベルギーで885例、ロンバルディア州で1,872例だったと報告されています。こうした記録を分析した結果、合計約100万人のうち、膵臓がんの診断を受けた患者は、約半数が糖尿病の確定診断から1年以内に膵臓がんと判明していたことが分かったそうです。
関係は複雑ながら有意な関連性の存在はほぼ確か
また、ベルギーでは2型糖尿病と判明してから90日以内に、25%の膵臓がん症例が診断され、ロンバルディア州では18%が同様に90日以内で診断されていました。1年が経過した後に、膵臓がんと診断された割合は非常に少なく、推移でみると劇的に減少していたことも報告されています。
糖尿病治療を開始し、はじめの介入となる経口治療薬での治療を続けることができた患者に比べ、インクレチン処方へと進んだ患者の場合、3カ月内に移行した患者は膵臓がんと診断されるリスクが3.5倍、3~6カ月での移行で2.3倍、6~12カ月で2倍、それ以降では1.7倍となっていました。
さらに、すでに2型糖尿病を患っていた人で、経口治療薬による血糖コントロールを行っていた患者のうち、その後に膵臓がんと診断された患者では、病態の進行が急速化し、インクレチンまたはインスリンへの治療移行をより早く行わねばならなくなっていたことも明らかになりました。
2型糖尿病の症状が急激に悪化して、インスリン注射による、より積極的な治療介入を行う必要が生じたケースでは、膵臓がんと診断されるリスクが大きく上昇、7倍にもなっていたとされています。
研究チームでは、膵臓がんと糖尿病の間に関連があることは、これまでの研究でも指摘されたことがあり、その関係は複雑なものであるが、有意な関連が認められるとし、突然の2型糖尿病発症や、急激な病態進行を伴う2型糖尿病の場合、隠れた膵臓がんの兆候である可能性を疑うべきだとまとめています。
今回披露された知見は学会発表のもので、論文としてまとめられ、査読を受けて正式に専門誌などへ掲載されるまでは、予備レベルに位置づけられますが、膵臓がんは致死率が高いがんである一方、早期発見がきわめて難しいものであるため、糖尿病の有無や状態にも注目し、既存の腫瘍マーカーと組み合わせた検査で精度を向上させていくなどすれば、治療効果の改善を図れる可能性があります。今後、さらなる研究の進展が期待されるでしょう。
(画像は写真素材 足成より)

ECCO 2017 : Diabetes or its rapid deterioration can be an early warning sign for pancreatic cancer
http://www.ecco-org.eu/