血管内で赤血球中のヘモグロビンがどのくらい糖と結合しているかを示すHbA1c値や、血液中にある糖の量を表す空腹時血糖は、糖尿病診断に欠かせない指標として広く知られており、健康診断におけるこれらの数値を気にしている方も少なくないことでしょう。
現時点の基準ではスクリーニングが不正確との報告
ところが、これらの数値から2型糖尿病を発症する可能性の高い糖尿病前症にある人を見つけ出し、発症を予防していくことは困難であるとする最新の研究報告が、英医学誌のBMJオンライン版に1月4日付で掲載され、注目を集めています。
この研究は、Eleanor Barry氏らの研究チームによるもので、MedlineやPreMedline、Embaseなどにおける過去研究をチェック、Google Scholarを用いて研究プロトコルや論文の引用追跡を行い、関連する研究のデザインや方法、知見に関する各種データを抽出して分析したものです。
言語は問わず2,874本の研究に対するスキャンが行われ、148の論文(138の研究をカバー)が今回の分析対象として抽出されました。研究チームではこれらに関し、糖尿病前症の状態にある人をどれだけ正確に選別できるかをみる平均感度と、そうでない人をどれだけ正しく除外できたかをみる特異度で分析し、2型糖尿病の発症を予防する生活習慣介入にうまくつなげられているかを調査しています。
空腹時血糖の特異度の高さが確認できたのみ、より正確な検査の必要性が明らかに
解析の結果、HbA1c値による糖尿病前症患者同定の平均感度は0.49で、特異度は0.79となりました。これらはいずれも低い値で、十分な正確さをもっているとはいえない状態です。
一方空腹時血糖では、平均感度は0.25とやはり低かったものの、特異度は0.94と高い値になりました。なお血糖異常の異なる測定値は、異なるサブ集団を同定するものとなり、HbA1c値に異常がみられた人の47%では、他の血糖異常はないといった状態が確認されたそうです。
2型糖尿病発症を予防するための生活習慣介入実践との関連性をみた分析では、6カ月以上6年までで、相対リスクを36%低下させるものとなっていました。またその後のフォローアップ時では、20%のリスク低下が痕跡としてみられたとされています。
こうした結果から研究チームでは、HbA1c値は糖尿病前症を検出するには、感受性の面でも特異度の面でも不十分で、空腹時血糖は特異度は高いものの、やはり感受性面は不十分なものだったとし、糖尿病前症を有する人の場合では、介入を行うことで2型糖尿病の発症を予防する、または進行を抑制するといったことがある程度できているものの、スクリーニングが不正確であることから、十分な有効性を発揮させられていないとしました。
そして、このHbA1c値と空腹時血糖の検査だけでは、2型糖尿病の増加に歯止めをかけることは難しく、より精度の高いスクリーニングと治療方針を導入していくことが必要との見解を示しています。
(画像は写真素材 足成より)

BMJ : Efficacy and effectiveness of screen and treat policies in prevention of type 2 diabetes : systematic review and meta-analysis of screening tests and interventions
http://www.bmj.com/content/356/bmj.i6538