2型糖尿病に対する薬物治療では、多様な薬剤が登場し、アプローチもさまざまに、それぞれが特性をもって効果を発揮するようになりました。治療選択肢が増加するメリットがある一方で、その副反応も多様化しているため、注意深くみていく必要があります。
SGLT2阻害薬投与による血中電解質レベルへの影響を調査
糖尿病治療薬のうち、SGLT2阻害薬と呼ばれるタイプの薬剤について、この薬剤を使用した場合の患者では、血中電解質レベルにどのような影響が及んでいるのか、メタ解析によって調べた研究結果が、「Diabetologia」12月号に掲載されました。この研究は、Huilin Tang氏らの研究チームによってなされたものです。
SGLT2阻害薬は、細胞内外のナトリウム濃度差を利用し、グルコースを細胞内に取り込む輸送担体で、主に腎臓の近位尿細管に存在、糸球体で濾過されたグルコースの約9割をナトリウムとあわせて再吸収する働きをしているSGLT2(sodium-glucose contransporter 2・ナトリウム依存性グルコース輸送体2)を選択的に阻害する薬剤で、これによってグルコース(糖)の再吸収を抑制、尿中へと余分なグルコースを排泄することで血糖を低下させます。
体内でのグルコース代謝やインスリン分泌に直接作用することなく、高血糖の改善を導く点が特徴的で、体重減少や利尿作用による血圧降下作用も期待できる一方、尿糖の量が増加するため、尿路感染症などのリスクが増加するとされています。
研究チームでは、2016年5月24日までのPubMed、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、ClinicalTrials.govを対象に、血中の電解質レベル変化を報告したSGLT2阻害薬に関する無作為化比較試験を検索し、データを抽出、メタ解析を行っています。
リンやナトリウムの値は薬剤によって異なる結果に
検索の結果、18の無作為化比較試験が抽出され、15,309人の2型糖尿病患者と4つのSGLT2阻害薬、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、イパグリフロジンが分析の対象となりました。
すると、慢性腎臓疾患のない2型糖尿病患者の場合、いずれのSGLT2阻害薬でも、プラセボと比較して、投与により血中マグネシウム濃度が有意に増加していることが認められました。カナグリフロジン100mgでは0.06mmol/l、300mgでは0.09mmol/l、ダパグリフロジン25mgでは0.07mmol/l、エンパグリフロジン10mgでは0.04mmol/l、25mgでは0.07mmol/l、イパグリフロジン50mgでは0.05mmol/l、上昇していたといいます。とくにカナグリフロジンでは、用量依存的に血中マグネシウム値が増加したそうです。
また、ダパグリフロジンではリン酸セシウムが有意に増加し、血中リン値が上昇、血中ナトリウム値は、カナグリフロジンではプラセボより低くなる一方、エンパグリフロジンではプラセボに比べて高くなるなど、薬剤によって結果が大きく異なることが確認されました。なおカルシウム、カリウムについての有意な変化は観察されていません。
研究チームでは、こうした血中電解質レベルでの変化を報告した上で、2型糖尿病患者におけるマグネシウム値の上昇に関する臨床的意義と重要性については、さらなる研究を要するとまとめています。
血中の電解質濃度に大きな変化が生じると、さまざまな身体症状が発現するため、今後の研究結果によっては、血糖降下作用で得られるメリットと比較しながら、薬剤や用量を調節していく必要が生じてくるかもしれません。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetologia : Elevated serum magnesium associated with SGLT2 inhibitor use in type 2 diabetes patients : a meta-analysis of randomised controlled trials
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