女性が妊娠すると、胎児の発育エネルギーとなるブドウ糖が効率よく届くよう、胎盤からのホルモンによってインスリンの働きが阻害されるようになります。しかし、この仕組みが必要以上に機能しすぎるなどして、高血糖状態が続くことがあり、これを妊娠糖尿病と呼んでいます。
リスクを避ける血糖コントロール治療にはSU薬?メトホルミン?
妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群や巨大児、難産、乳幼児低血糖などが発生しやすくなり、胎児にとっても母体にとっても大きなリスクが生じます。そのため、一般的な糖尿病同様、良好な血糖コントロールを達成するための治療が必要となるのです。
この治療において用いるならば、スルホニル尿素(SU)薬にあたるGlyburide(グリブリド)が良いのか、それともビグアナイド薬のメトホルミンが良いのか、有効性と安全性でそれぞれを比較した研究結果が「Diabetes Care」オンライン版に1月11日付で掲載されました。
Zohar Nachum氏らの研究チームは、食事療法を実施してもなお血糖コントロール不良な妊娠13~33週の妊娠糖尿病患者104人を対象として、これをグリブリド投与群53人とメトホルミン投与群51人にランダムで割り付け、検討を行っています。
実験観察中、良好な血糖コントロールが得られない場合には、さらに他の血糖降下薬を追加し、副作用が発現した場合には他の薬剤への切り替えを行ったほか、いずれの対処でも改善がみられないケースでは、インスリンを用いたとされています。
効果に大差なし、ややメトホルミンが優れる可能性
それぞれの薬剤による治療を行った結果、グリブリド投与群では、全体の34%にあたる18例で失敗、その理由内訳は血糖コントロール不良が12例、副作用発現が6例でした。一方メトホルミン投与群では、全体の29%にあたる15例が失敗となり、理由は血糖コントロール不良が14例、副作用の発現が1例でした。
2次療法を行った場合の治療成功率は、グリブリド投与群が18人中9人で成功、メトホルミン投与群は15人中13人で成功と、メトホルミン群の方が高かったと報告されています。また、インスリンを必要としたケースもグリブリド投与群の方が多く、9例となり、メトホルミン投与群では2例でした。
グリブリドとメトホルミンを併用投与した場合、インスリンを必要とする患者の割合は、32%から11%にまで低下、高い有効性があることも確認されています。
なおグリブリド投与群とメトホルミン投与群では、平均血糖値や巨大児、新生児低血糖、電解質失調、その他の産科関連転帰の発現や新生児における健康状態などの結果は同等で、有意な差はみられませんでした。
こうした結果から研究チームでは、グリブリドとメトホルミンの併用療法は有効性が高く、妊娠糖尿病患者のインスリン必要性を有意に低下させるといえるが、第1選択薬としては、ややメトホルミンの方がグリブリドよりも優れている可能性があるとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Glyburide Versus Metformin and Their Combination for the Treatment of Gestational Diabetes Mellitus : A Randomized Controlled Study
http://care.diabetesjournals.org/