近年は世界的な患者数の増加に伴い、さまざまな糖尿病治療薬が開発され、それらを組み合わせた新しい治療選択肢も多く見出されるようになりました。重要なことは、それらさまざまなアプローチの中から、個々の患者において最適なものが選択されていくことですが、その意思決定に有用な知見をもたらす最新の研究結果が報告されています。
メトホルミン単独療法不応例にエンパグリフロジンとリナグリプチンの併用が有効
これは、「Diabetes, Obesity and Metabolism」1月10日号に掲載された論文で、Thomas Forst氏らの研究チームの成果がまとめられたものです。
Forst氏らは、メトホルミンの単独療法では制御が十分に行えていない2型糖尿病患者を対象として、SGLT2阻害薬に分類されるエンパグリフロジンとDPP-4阻害薬のリナグリプチンを併用、逐次漸増させた際に得られる効果を、膵α細胞および膵β細胞の機能をチェックする検査マーカーで調べ、検討する研究を実施しています。
研究チームでは、まず対象となった2型糖尿病患者44人に、エンパグリフロジンを25mg、1カ月間投与し、治療期1として非盲検試験を行いました。次に治療期2として、リナグリプチン5mgを併用投与する群とプラセボ(偽薬)を併用投与する群に、患者を無作為に割り付け、1カ月間観察する二重盲検試験を実施しました。
膵αおよびβ細胞の機能評価は、標準的な流動食負荷試験と静脈内へのグルコース負荷によって行っています。治療の有効性測定には、流動食試験後の血糖値、インスリン値、プロインスリンおよびグルカゴン曲線下の領域、静脈内へのグルコース負荷後におけるインスリン反応などを用いました。
リナグリプチン併用で食後血糖値が大きく改善
その結果、エンパグリフロジン投与の治療期1で、空腹時血糖値、食後血糖値の低下がみられ、これに関連して食後のインスリン値の有意な低下、プロインスリン変換率の改善が確認されました。
また、治療期2におけるリナグリプチンの追加投与は、食後血糖値をさらに改善させ、治療としての有効性を示す結果を得ることができました。これは、食後のグルカゴン濃度が顕著に低下した結果であるとみられています。
静脈内へのグルコース負荷後におけるインスリン反応の改善は、治療期1のエンパグリフロジン投与中にもすでに現れ、治療期2のリナグリプチン追加投与で、より改善したことも報告されています。
これらの結果から研究チームでは、メトホルミン単独療法で十分な効果が得られていない不応例の患者において、エンパグリフロジンとリナグリプチンを併用した治療増強は、食後血糖値のコントロールでさらなる効果を得るという観点から、有用で魅力ある治療選択肢となるだろうとしています。
またこうした効果は、おそらく膵α細胞および膵β細胞の機能改善による相補的効果としてもたらされている可能性が高いと考えられるともしました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes, Obesity and Metabolism : Effects on α- and β-cell function of sequentially adding empagliflozin and linagliptin to therapy in people with type 2 diabetes previously receiving metformin : An exploratory mechanistic study
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dom.12838/full