日本も例外ではなく、医療の高度化に伴い、多くの命が救われるようになった一方で、こうした先進的な医療が受けられる国や地域では、医療費の増大が大きな問題となっています。この医療費の問題について、今回米国における調査で、治療や診断にかかった費用のトップが糖尿病となったことが発表されました。
糖尿病診療費用がトップに
この調査研究は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に12月27日付で掲載されたもので、Joseph L. Dieleman氏らの研究チームによってなされた1996年~2013年の調査となっています。
研究チームによると、米国では2013年時で2兆1,000億ドルにのぼる医療費がさまざまな疾患の治療などに費やされており、米国経済全体の17%超を占めるまでになっているそうです。そこで今回の調査では、年齢や性別、治療タイプによって、個人の保健医療・公衆衛生に関する米国の医療費支出を体系的かつ包括的に推計し、その傾向をつかむことを目指しました。
分析においては、1996年~2013年の政府予算や保険金請求、施設調査、世帯調査、米国公式記録といったデータを収集、これらを組み合わせて用いています。183のデータ源から29に分類されたがんを含む155疾患について医療費を推計、一次診断よりも治療された健康状態をより反映するように調整し、算出したとされています。
その結果、1996年~2013年に支出された個人の医療費は、30兆1,000億ドルで、2013年には、155疾患のうち糖尿病が57.6%にあたる1,014億ドルでトップ、外来診療費は23.5%を占めていました。
さらに増え続ける糖尿病の医療費
次いで多かったのは、虚血性心疾患で、これによる推定医療消費額は881億ドルとされています。3位は腰痛・頸部痛で876億ドル、4位以下は、839億ドルの高血圧、転倒などによる怪我が763億ドル、うつ病関連で711億ドル、歯科治療の664億ドル、視覚・聴覚障害で590億ドルなどと続いています。
なお、がんはランクインしていませんが、これは発症部位別に分けて推計算出されたためで、全部位をあわせると約1,150億ドルにのぼるとも報告されています。
分析された155疾患のうち、1996年~2013年で個人の医療費支出として増加したものは143疾患と、ほとんどの疾患で医療費が増大していることが判明しました。支出レベルは、年齢や性別、選択する治療のタイプなどによって異なっていますが、全体的に上昇する傾向があることは間違いないようです。
糖尿病に関しても、インフレ率などの数値調整を行っても、支出される医療費は毎年増加しており、約6%の増加率だったとされています。この期間における医療費全体の年増加率は平均3.5%であったため、これを大きく上回る増加といえます。
2013年の糖尿病において支出された医療費の内訳をみると、薬剤費が57%で最も多く、23.5%が外来診療費で、医療費増を押し上げているのは薬剤関連の価格上昇とみられています。しかし研究チームでは、こうした薬剤への支出が間違っているというわけではないとし、薬剤を個々の状態にあわせて適切に用いていくことで、かかる費用も最適化し、治療結果を改善しながら、支出増大を抑制していくことができるとしています。
(画像は写真素材 足成より)

JAMA : US Spending on Personal Health Care and Public Health, 1996-2013
http://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2594716