糖尿病における主な合併症の中に糖尿病網膜症があることはよく知られています。放っておくと失明にもいたる深刻な障害ですが、この障害は糖尿病黄斑浮腫という病気で生じていることがあります。この糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症が進行するにしたがって発症リスクが上昇するもので、黄斑部に血液成分が漏れ出してむくみを生じ、かすみ目やものが歪んで見える変視症、著しい視力低下を起こすとされています。
外科的治療後のVEGF阻害薬投与で視力などが改善
この糖尿病黄斑浮腫に対する外科的治療法として、レーザー光凝固術がしばしば用いられるのですが、それを行った後に視力が大きく低下した患者に対しては、硝子体に眼科用血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬のアフリベルセプトを投与すると、低下した視力などが改善するという研究報告が、「JAMA Ophthalmology」オンライン版に12月22日付で掲載され、注目を集めています。
この研究を行ったのは、Charles C. Wycoff氏らのチームで、彼らは、糖尿病黄斑浮腫患者における硝子体内へのアフリベルセプト投与の有用性について検討したVISTA試験と、糖尿病黄斑浮腫による視力障害に対するアフリベルセプトの硝子体内投与を行ったVIVID試験の2フェーズ3試験について、サブグループに関する事後解析を実施し、検討を行っています。
期間は100週間で、VISTA試験の40.9%にあたる154眼のうちの63眼が、VIVID試験の46.6%にあたる133眼のうちの46眼が、それぞれ解析対象としてレーザー治療群へと無作為に割り付けられ、硝子体内へのアフリベルセプト投与を受けました。
中心網膜厚も減少
無治療期間となった24週から最初のアフリベルセプト投与までの中央値は、VISTA試験で34.0日、VIVID試験で83.5日で、解析・検討の結果、それぞれこのサブグループでは、ベースラインから100週目における矯正視力文字数の変化量はVISTA試験のグループで2.2文字、VIVID試験のグループで3.8文字と、いずれも増加していました。
アフリベルセプト硝子体内投与を行う前の段階では、これら対象となった患者の矯正視力文字数におけるベースラインからの変化量は、VISTA試験のグループで11.0文字、VIVID試験のグループで10.0文字減少し、視力として失われている状態が確認されましたが、アフリベルセプトの投与を開始して100週目となった時点では、VISTA試験グループで17.4文字、VIVID試験グループで13.6文字増加し、視力に有意な改善がみられることが分かったそうです。
視力だけでなく、中心網膜厚も薄くなる変化がみられ、アフリベルセプト投与の開始時点では、VISTA試験グループで3.9μm厚く、VIVID試験グループで3.0μm薄くなっていましたが、その後投与を持続した100週目までには、VISTA試験グループで285.6μm、VIVID試験グループで313.4μm分、いずれも薄くなることが確認されました。
これらの結果から研究チームでは、糖尿病黄斑浮腫に対するレーザー光凝固術施行後に、視力喪失が起きている場合、アフリベルセプトを硝子体内へ投与してやれば、視力の改善や、中心網膜厚における良好な変化といった解剖学的転帰の改善を見込めるとしています。
視力障害は患者のQOLを著しく低下させるものであるため、こうした研究の成果が臨床に活かされていくことが望まれます。
(画像は写真素材 足成より)

JAMA Ophthalmology : Intravitreal Aflibercept Injection in Eyes With Substantial Vision Loss After Laser Photocoagulation for Diabetic Macular Edema Subanalysis of the VISTA and VIVID Randomized Clinical Trials
http://jamanetwork.com/