糖尿病においては、さまざまな合併症の恐ろしさが知られており、糖尿病そのものの病態悪化を防ぐとともに、合併症の発症を予防すること、またその早期発見と治療を適切に行うことが重要です。今回この糖尿病における合併症対策領域で、新たな動きがありました。
ニコンが米企業と機械学習活用ソリューションで戦略的提携を締結
カメラ機器・映像機器を中心に、高度な光利用技術と精密技術をもととして、さまざまな製品やソリューションを提供していることで知られる株式会社ニコンが27日、同社の子会社であるOptos Plcとともに、米国のVerily Life Sciences LLC (旧Google Life Sciences・以下Verily社)と、機械学習を活用した網膜画像診断領域での戦略的提携を締結したことを発表しました。
今後は3社で新技術やソリューションの共同開発にあたり、眼科医・検眼医・糖尿病専門医などへと簡易な診断ソリューションを提供することで、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の早期発見・治療に貢献していく方針です。
Optos Plcは、ニコンが2015年に完全子会社化した、網膜画像診断機器市場のトップメーカーで、網膜の82%を1度に撮影することができる独自の超広角技術や高画質イメージ生成「optomap」を実現する技術などを有し、その組み合わせでから業界における圧倒的優位性を保っています。先進国における眼科医・検眼医に対する強力な事業基盤も保有していて、今回のプロジェクトでは、この基盤も大いに活用されるそうです。
Verily社は、最新の科学技術を用いながら、人々の健康と生命科学に関する重要課題へと取り組むライフサイエンス研究および技術開発を行っている組織で、データの整理・分析や科学的知見、高度な製品開発力を強みとしています。
同社は、より深く広範にわたる健康データの収集を行うツールやプラットフォームの開発、そしてそれらデータから行動や意思決定を最適化できるよう、使いやすく体系化する基盤構築の実現に努めており、各専門分野の深い知識とリソースが活かせるように、さまざまな先進企業・政府機関などとの提携も積極的に進めています。
視覚障害や失明リスクの低減に向けて
提携によって開発するソリューションの対象となっている、糖尿病網膜症と糖尿病黄斑浮腫は、現在、成人における失明の主な原因のひとつとなっていますが、いずれも発症前のスクリーニング検査を効果的に実施し、早期発見と治療に取り組めば、進行を防ぎ、失明にいたるといった事態を避けることができます。
糖尿病網膜症は、網膜の血管が高血糖状態にさらされるなどして継続的に損傷を受けることから、眼の機能に障害を生じる疾患です。適切な治療がなされないと、目立った自覚症状もないままに、不可逆的な視覚障害が生じるにいたってしまうこともあります。
もう一方の糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の合併症で、黄斑部というところに血液中の成分が漏れ出すことで、むくみを生じる眼疾患です。
近年は、世界的に糖尿病患者が急速に増加しており、こうした合併症による視覚障害を発現する患者も、今後はさらに増えてくる恐れがあります。そのため、視覚障害に対する疾病管理ニーズもますます高まってくるでしょう。
今回戦略的提携を結んだニコン、Optos Plc、Verily社の3社は、多くの国々における独占的提携を締結するものとし、これを通じて、糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の早期発見・治療を目的とした、機械学習活用の検査・診断用ソリューションを、3社の有する先進的技術を持ち寄って、共同開発していきます。
ニコンの強みである光学技術や精密制御、精密機器量産技術、Optos Plc独自の超広角技術や眼科診断市場における事業基盤、Verily社の優れた機械学習技術が組み合わさることとなるため、眼疾患の診断・治療における高度な発展と、それによる多くの患者の予後管理改善とが実現できる、革新的なソリューションが生み出され、提供されるものとなることでしょう。ぜひ今後の開発に期待したいですね。
(画像は株式会社ニコン ホームページより)

株式会社ニコン プレスリリース
http://www.nikon.co.jp/news/2016/1227_01.htmOptos Plc ホームページ
https://www.optos.com/Verily Life Sciences LLC ホームページ
https://verily.com/