糖尿病患者の場合、一般の人に比べておよそ2倍も高血圧になりやすく、また糖尿病と高血圧症が互いに悪影響を与え合ってしまうことも明らかとなっており、脳血管障害や心筋梗塞などの発症リスクもより高まるため、注意が必要とされています。さらに糖尿病の主要な合併症に、糖尿病性腎症がありますが、高血圧と腎臓の関係性も深く、血圧が高いと腎臓のダメージが進み、腎臓の障害は高血圧を進行させることも分かっています。
120/70mmHg未満にすると効果的
このことを裏付ける1型糖尿病を対象とした研究が、「Diabetes Care」12月号に掲載されました。この研究では、異なる血圧のレベルにある患者グループを比較し、血糖コントロールを行った状態で、腎臓における有害な転帰発現リスクにどう違いが出るかを分析しています。
報告を行ったElaine Ku氏らの研究チームは、糖尿病の血糖コントロールと合併症に関する試験であるDCCTで、13歳から39歳までの1型糖尿病患者1,441人を無作為に抽出し、その収縮期血圧と拡張期血圧、24時間あたり300mg超の顕性アルブミン尿症、持続性推定糸球体濾過率が60mL/min/1.73平方メートル未満のステージ3とされる慢性腎臓病(CKD)の発現に注目して、その関連性を検討しました。
観察を行った期間の中央値は24年で、このフォローアップ期間中に、ステージ3の慢性腎臓病は84例、顕性アルブミン尿症は169例確認されています。
血糖とともに血圧にも注意した健康管理を!
影響を与えうる要素について調整を行った上で分析を実行したところ、収縮期血圧が120mmHg未満の場合、130~140mmHgの場合と比べ、顕性アルブミン尿症の発現リスクが0.59倍に、ステージ3の慢性腎臓病発症リスクが0.32倍と有意に低くなることが判明しました。
また拡張期血圧では、70mmHg未満の範囲に収まっている場合、80~90mmHgの値となっている患者の場合に比べて、顕性アルブミン尿症の発現リスクは0.73倍に、ステージ3の慢性腎臓病となるリスクは0.47倍となっており、こちらでも血圧の低さとリスク低減との間に明らかな関連性があることが確認されています。
一方、先に行われたDCCTにおける血糖コントロール戦略の違いと血圧との間には、関連性はみられなかったそうです。
このことから研究チームでは、以前に割り当てられた血糖コントロール方法にかかわらず、より低い血圧の状態を保つことで、1型糖尿病患者における腎臓の有害な転帰リスクを実質的に低減させられることが分かったとしています。
そして、120/70mmHg未満とした場合のリスク低減効果が顕著に見受けられたため、現在推奨されている血圧目標の140/90mmHgは、腎臓を保護する観点からみた場合、高すぎる可能性もあると指摘し、今回の研究報告は再考を促すものともなるだろうとしました。
1型のみならず2型糖尿病においても、あわせて高血圧症を患うことは、さまざまな悪影響をもたらすことが明らかになっています。全身の健康を維持・改善するため、血糖値はもちろん、血圧にも留意した生活を送るよう、心がけることが推奨されます。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Association Between Blood Pressure and Adverse Renal Events in Type 1 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/content/39/12/2218