近年、私たちの身の回りでは、さまざまな分析・解析が膨大なデータをもととするコンピュータ・アルゴリズムによってなされており、それにより導かれた最適化が多様な問題を解決したり、生活をより便利にしたりと、大いに活躍するものとなっています。糖尿病治療においても、こうしたデータ活用は今後さらに有効となりそうです。
健康につながる成果の鍵は個々の状態に合った治療!
糖尿病における治療では、患者個々の状態に合わせた個別化医療であたること、チーム医療で取り組むことが重要とされていますが、それを実現することは現状容易ではなく、現行の2型糖尿病管理に対する臨床ガイドラインも、患者固有の要素に基づいた差別化を図ることができるものとはなっていません。
そこで、Dimitris Bertsimas氏らの研究チームは、糖尿病の管理に特化した、独自のデータ駆動型アルゴリズムを開発し、患者に対してそれによる個別化医療ケアと標準的なケアを比較、それらの治療効果もあわせて検証する実験を行いました。この研究報告は「Diabetes Care」オンライン版に12月5日付で掲載されています。
Bertsimas氏らは、ボストン・メディカルセンターに収められた、1999年~2014年の2型糖尿病患者10,806例の電子カルテをもとに、13の薬物療法における治療成果を抽出してモデル化、各患者の外来受診1件ごとに、近しい代替治療による結果の範囲を分析しました。
近似関係をとらえるうえでは、個々の患者の特徴や治療成果に最もつながるであろうと予測される病歴の類似性を最大化するものとするなどして、個別化医療による治療方法を導出、推奨するアルゴリズムを開発したそうです。
アルゴリズムを活かすことで平均HbA1c値が有意に低下
その結果、48,140例の患者外来診療のうち、アルゴリズムによって推奨された治療は、68.2%が標準治療と一致していました。
一方で、異なる治療方法が推奨されたケースでは、アルゴリズムによって導かれた治療を行った方が、標準治療を行った場合に比べ、HbA1c値の平均値が、0.44(前後閾値0.03)%、4.8mmol/mol(前後閾値0.3)低下、標準治療下で8.37%だったものが、アルゴリズム推奨治療下では7.93%になったとされています。
この結果を受け研究チームでは、糖尿病管理における個別化された治療アプローチは、HbA1c値において、標準的なケアよりも優れた効果をもたらすことが判明したとして、今回開発したアルゴリズムを視覚化したプロトタイプのダッシュボードを公開、治療効果改善のために活用してほしいと呼びかけています。
最新テクノロジーをうまく活かすことで、最適化された治療がなされ、よりよい疾患管理が可能となり、これまで以上に、多くの人々における健康な日々が保たれるようになるとよいですね。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Personalized Diabetes Management Using Electronic Medical Records
http://care.diabetesjournals.org/