糖尿病のなかでも多くを占める2型に対し、1型糖尿病は稀な疾患となっており、今なお社会における認識・理解が乏しい状況があります。小児期に発症するケースも多い1型糖尿病ですが、適切なインスリン治療を行えば、健常児と変わらない生活を送ることができます。ところが、1型糖尿病であるということを理由に、幼稚園や保育施設への入園を拒否された、難色を示されたといった事例も少なくないことが話題になっています。
新聞報道を受け小児内分泌学会が調査
きっかけは、2015年12月24日の毎日新聞で、近畿圏を中心とした患者団体を通じたアンケート結果から、1型糖尿病を発症した子ども67人のうち16%にあたる11人が「入園を断られた」経験があり、「難色を示された」6人を含めると、およそ4分の1がこうした体験をもっていることが判明したと報じられたことでした。
この報道を受け、日本小児内分泌学会糖代謝委員会は審議を行い、全国における実態を明らかにするため、同学会の評議員を対象に、この問題に関するアンケート調査を実施することを決定、2016年2月25日に、全国の評議員140施設191人へ調査依頼を送付し、2016年5月31日を締め切りとして回答を集めたそうです。この集計結果が12月21日、日本小児内分泌学会ホームページから公開されています。
調査の結果、24都道府県の57施設から回答があり、1型糖尿病の乳幼児症例があることを報告したのは42施設164人で184事例でした。そのうち、幼稚園や保育所への入園拒否があった例は、18施設37人47事例で10の都道府県にわたっていたそうです。患者数でみると、全体の23%が拒否された経験があるとしているため、やはり約4分の1が入園拒否を通告されたことがあることになります。
保育施設の種別で比較するため、保育所と幼稚園、公立と私立の内訳をみると、入園拒否47事例で最も多かったのは私立幼稚園で16事例・34%、次いで公立保育所14事例・30%、市立保育所と公立幼稚園がそれぞれ8事例で17%となっていました。保育所と幼稚園では、保育所が29%に対し幼稚園では23%と、保育所の方が高い傾向もみられています。
知識の有無がポイント、許可されても親の負担が多大となることも
インスリン療法での比較では、入園拒否の47事例のうち、インスリンポンプを用いている例が23事例(49%)と最も多く、4回打ちが17事例(36%)と次いで多い結果になっています。ですがこれは、現在1型糖尿病の場合、乳幼児においてもインスリンポンプや頻回のインスリン注射が一般的となっているため、そのことが大きく影響していると考えられており、あまり療法による差はない可能性が示唆されてもいます。
入園拒否のあった事例に関する主治医コメントでは、1型糖尿病についての知識がない、受け入れ経験がないといった理由で。頭から拒否されるケースが目立ったといい、周辺の保育所6~7カ所を回ったものの、すべて話も聞いてくれなかったという報告もあったそうです。
また、親が園内でも常に付き添うよう求められるなど、事実上不可能な条件を提示されたために断念したという報告があったほか、入園拒否のなかった事例でも、インスリン注射や血糖測定、園での行事などに際し、親に多大な負担がかかっていることが多いことが明らかとなり、今後は1型糖尿病についての理解を広めていくとともに、少しでも保護者の負担を軽減できるよう工夫していくことが必要であると分かりました。
調査結果を受け、日本小児内分泌学会では、ホームページから自由にダウンロードできる「1型糖尿病(インスリン治療を必要とする)幼児の幼稚園・保育施設への入園取り組みガイド~園児受け入れ担当者と保護者のために」を作成し、提供を開始しています。
また、幼稚園・保育施設の職員へのお願いとして、入園を一方的に拒否するのではなく、保護者や医療者との話し合いをもつようにすること、1型糖尿病患児が自ら行うインスリン注射・インスリンポンプ治療・血糖測定についての見守りと補助の実施、低血糖への配慮、低血糖対処として施設内におけるグルコース製剤などの保管の4点を挙げ、病気への理解を深めてほしいと呼びかけています。
日々の管理が重要な糖尿病との付き合いは、1型・2型ともに大変なことも多いものですが、病気についての正しい知識を身につけ、社会全体で支えていく仕組みを構築していくことが切に望まれます。
(画像は日本小児内分泌学会ホームページより)

日本小児内分泌学会 「1型糖尿病患児に対する幼稚園・保育所の入園拒否の実態」に関するアンケート調査報告書資料
http://jspe.umin.jp/iframe/files/report_161221.pdfガイド提供ページ
http://jspe.umin.jp/public/kenkai2.html