2型糖尿病においては、糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害といった3大合併症に代表されるさまざまな合併症の恐ろしさが知られていますが、それに加えて心血管系疾患を発症するリスクが高くなることが判明しており、糖尿病患者が死亡に至る大きな原因が心血管系イベントに関連しているといわれています。
CD34陽性幹細胞などが少ないと発症率が高い傾向に
そのため、いかに心血管系疾患発症のリスクを低減させ、コントロールしていくかが重要なポイントとされていますが、その臨床ケアに役立つ知見を与えるであろう最新の研究成果が、先月の「Diabetes Care」オンライン版に掲載されました。
この研究は、Fadini氏らのチームによってなされたもので、2型糖尿病患者187人を対象に、中央値6.1年間の追跡調査を行って、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の3つの重大な有害心血管系イベントの発現と、それを原因とする最初の入院に至るまでの期間を評価、分析しています。
またベースライン時には、末梢血液中のCD34、CD133、およびKDRの発現をベースとする6つの幹細胞および前駆細胞の表現型測定も行ったそうです。
CD34・CD133に注目することで将来のリスク予測が可能か
追跡期間中、入院を必要とする重大な心血管系イベントを発現した患者は、48人(4.5人/100人患者年)で、発症した患者では、CD34陽性およびCD34陽性とCD133陽性の細胞が、発症しなかった患者に比べ有意に少ないことが明らかとなりました。
またCD34陽性およびCD34陽性とCD133陽性の細胞数が中央値未満の患者でみると、全体に比較して、心血管系イベントの発現率が有意に高いことも判明したそうです。
さらにCox比例ハザード回帰分析を行ったところ、CD34陽性細胞数の減少は2.21倍の発症リスク、CD34陽性およびCD133陽性の細胞数減少は2.98倍のリスクとなっていることが分かり、CD34陽性細胞、CD34陽性細胞およびCD133陽性細胞の数における減少は、2型糖尿病患者における将来の重大な心血管系イベントを発現する独立した予測因子として認められるものだったとしています。
今回の研究を通じ、研究チームでは、2型糖尿病患者においては、循環するCD34陽性幹細胞のベースラインレベルが低下したとき、6年後以降までの有害な心血管系疾患発症への転帰が、高いレベルで予測されるとし、これに注目したリスク管理を行っていくべきだとしています。
CD34陽性細胞は、さまざまな体性幹細胞の表面マーカーであり、多くの場所での発現がみられ、ヒトの幹細胞指標として広く用いられるものとなっています。糖尿病治療においても、今後はこの細胞数が指標として重要視されるようになるかもしれません。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Long-term Prediction of Cardiovascular Outcomes by Circulating CD34+ and CD34+CD133+ Stem Cells in Patients With Type 2 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/