アルコールに由来しない脂肪肝を非アルコール性脂肪肝といいますが、その原因は肥満や脂質異常症のほか、糖尿病が主なものとなっており、2型糖尿病患者の場合、肝臓の機能低下に陥りやすいことが分かっています。糖尿病から脂肪肝となり、自覚症状のないままに重症化して肝硬変を併発、命を落とす人も少なくありません。
高たんぱく食で脂肪肝が改善
こうした恐ろしい合併症としての非アルコール性脂肪肝について、高たんぱく食を摂取すると改善されることを明らかにした研究結果が新たに報告され、注目を集めるところとなっています。この研究は、Markova M氏らの研究チームによって行われたもので、その論文は、専門誌「Gaestroenterology」に10月17日付で掲載されました。
研究チームによると、非アルコール性脂肪肝は、肝疾患や心血管疾患、代謝疾患リスクの増加と関連性があることは疑いのないところであるものの、高たんぱく食摂取については、肝臓脂肪を減少させ代謝を改善するため有効であるとする報告と、インスリン抵抗性を誘発するという報告があり、意見が分かれるところとなっていたため、今回あらためて検証を行ったのだそうです。
研究は、2013年6月~2015年3月の期間、ドイツのメディカルセンターで2型糖尿病かつ非アルコール性脂肪肝と診断された37人を対象として、6週間にわたる高たんぱく食を摂取してもらい、その影響を検討するというかたちで行われました。
今回の高たんぱく食は、たんぱく質が30%、炭水化物40%、脂肪30%の栄養素からなるものと定義され、主に肉類と乳製品からなる動物性主体タイプと、主にマメ科たんぱく質由来の植物性主体タイプが用意されました。患者は前者に18人、後者に19人が割り付けられています。いずれもカロリー制限はとくになされていません。
被験者については、肝臓脂肪量のほか、BMI指数や体組成、腰回りのサイズ、安静時のエネルギー消費量、呼吸指数、血液中のグルコース、インスリン、肝酵素、炎症マーカー、遊離脂肪酸および遊離アミノ酸レベルといった数値を、研究開始時点と6週間後とで計測しています。
またクランプ法による全身のインスリン感受性測定や、皮下脂肪組織サンプルを収集した、遺伝子発現パターンやシグナル伝達たんぱく質のリン酸化についても分析が行われています。
高たんぱく、低脂肪な食事を心がけよう!
研究の結果、動物性主体タイプでも、植物性主体タイプでも、高たんぱく食を摂取することにより、6週間で肝臓脂肪が36~48%も減少し、脂肪肝が改善していることが確認されました。
この脂肪減少は、体重変化とは無関係でしたが、脂肪の分解や脂肪生成指数の低下と相関関係があり、繊維芽細胞増殖因子21(FGF21)の血清レベルは、動物性・植物性の両群で50%減少していたといいます。このFGF21の減少は、肝臓脂肪の減少と有意に関連していたことが報告されました。
高たんぱく食を摂取したことで、どちらの食事タイプの群でも、肝酵素や炎症マーカーのレベルも低下し、肝臓の健康状態が改善されていたほか、インスリン感受性も向上し、ケラチン18の血清レベルは低下していたそうです。
研究チームでは今回の結果を通じ、2型糖尿病患者における高たんぱく食の摂取は、体重とは関係なく肝臓脂肪を有意に減少させるほか、インスリン抵抗性や肝臓の炎症状態を低下、改善させることが判明したと結論づけました。
詳しいメカニズムは不明であるものの、脂肪組織における脂肪分解経路および脂質生成経路を介して、これらの変化がもたらされるのではないかとみられるほか、FGF21のレベルは、代謝改善のマーカーとなっている可能性が高いとしています。
たんぱく質を積極的に摂取しようと意識することで、脂肪過多になってしまうことは避けなければなりませんが、低脂肪・低カロリーで高たんぱくな食材を摂るヘルシーな食生活を心がければ、良い効果が期待できるかもしれません。
(画像は写真素材 足成より イメージです)

Gaestroenterology : Isocaloric Diets High in Animal or Plant Protein Reduce Liver fat and Inflammation in Individuals with Type 2 Diabetes.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27765690