近年、さまざまなタイプの糖尿病治療薬が、そのなかに登場していますが、そのなかのひとつに、2型糖尿病治療用の長期作用型ヒトGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)アナログ製剤と分類されるリラグルチドというものがあります。このリラグルチドは、血糖値の高い場合にのみインスリン分泌効果などを発揮し、優れた血糖降下作用を示すものです。
1型糖尿病では?あらためてリスクを検証
このリラグルチドを、直接インスリンの代替として用いることはできませんが、インスリンの補助剤としては有望であり、1型糖尿病においても潜在的な治療選択肢とみる向きもあります。
しかし、リラグルチドのようなGLP-1受容体アゴにスト療法をとる場合、グルカゴン分泌が阻害され、胃排泄速度が低下、低血糖からの回復が損なわれる危険性があることが判明しています。そのため今回、1型糖尿病患者の低血糖時における、リラグルチドの逆調節反応や胃排泄速度に及ぼす影響を調べる研究が行われました。この結果は「Diabetes, Obesity and Metabolism」オンライン版に11月21日付で掲載されています。
実施したのは、Christian Seerup Frandsen氏らの研究チームで、18歳を超えた1型糖尿病有病者で、HbA1c値が8%以上である患者20人を対象に、12週間のプラセボ対照二重盲検ランダム化比較実験を行いました。
彼らは対象となった患者らを、インスリンへの追加治療としてリラグルチドの1日1回投与を行う群と、プラセボ(偽薬)を投与する群にランダムで割り付け、それぞれを比較することで、リラグルチドの与える影響を評価することを試みています。
有意な差は認められず影響なしと結論
実験の評価における主要エンドポイントは、胃排泄速度の変化で、パラセタモール曲線の面積と濃度ピークポイントにより評価を行いました。副次的評価項目には、血糖値の回復や拮抗ホルモン反応、膵ポリペプチド、GLP-1、血圧、心拍数の変化が含まれています。
2013年6月から2014年10月で実施したところ、12週間後の胃排泄速度には、両群間における有意な差は認められませんでした。曲線下の面積(AUC)や濃度のピークポイントによる評価でも、ベースラインから12週間後まで、有意な変化はみられなかったことも報告されています。
血糖値回復や拮抗ホルモン反応、膵ポリペプチド、GLP-1、血圧といった副次的評価項目でも同様で、それぞれの患者群における有意な差は認められないという結果になったそうです。なお心拍数に関してのみ、リラグルチドを追加投与した群の方で、増加する傾向がみられています。
今回の結果から研究チームでは、1型糖尿病患者において、リラグルチドの投与が、低血糖時の胃排泄速度や血糖値回復、拮抗ホルモンの応答を損なうことにつながるとは認められなかったとし、治療に関連する安全性の問題が特定されることはなかったと結論づけています。
(画像は写真素材 足成より イメージ)

Diabetes, Obesity and Metabolism : Liraglutide as adjunct to insulin treatment in type 1 diabetes does not interfere with glycaemic recovery or gastric emptying rate during hypoglycaemia: a randomised, placebo-controlled, double-blind, parallel-group study
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dom.12830/full