糖尿病には、主に生活習慣が影響して発症する2型糖尿病と、自己免疫疾患である1型糖尿病とがあります。1型糖尿病は、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれ、あるときから自分自身の体にある膵臓のランゲルハンス島β細胞が破壊されてインスリン産生細胞が壊れ、まったくインスリンが分泌されなくなってしまう病気です。
低血糖発現が年間8.4%減少
インスリンが分泌されないと、グルコースを細胞へ取り込むことができず、摂取したグルコースが大量に血管内へ残り、高血糖状態になりますから、結果として糖尿病特有の症状を示すこととなるのです。
2型糖尿病に比べて患者数は少ないものの、生涯にわたって血糖を測定しながらインスリンの自己注射などを続けなければならず、治療・管理を厳密に行わないと、さまざまな合併症を発症してしまうほか、常に変動する必要インスリン量を超過して低血糖を起こしてしまいがちです。
こうした管理の難しい1型糖尿病ですが、デンマークでは近年、成人1型糖尿病患者における低血糖発現件数が減少してきているのだそうです。「Diabetes Care」オンライン版の11月29日号に、その調査結果が掲載されました。
調査はKazi Ishtiak-Ahmed氏らによって行われたもので、デンマークの成人糖尿病患者を対象とする大規模データベース「Danish Adult Diabetes Database」から、2006年以降に登録された16歳以上の1型糖尿病患者、17,230人のデータを抽出し、2012年まで追跡調査を実施、低血糖の発生傾向とその予測因子を調べたものとなっています。
なお、低血糖の発生率を算出するにあたっては、性別や年齢、糖尿病の罹患期間をはじめ臨床的に影響を与えうる変数やこれまでの低血糖発現歴などを考慮し、経時的にモデル化したとされています。
低血糖発現歴や顕性アルブミン尿、HbA1c値などがリスク増と関連
調査・解析の結果、3.7年にわたる追跡期間中、年間70,002人の患者のうち、1型糖尿病患者の1,735人で2,369件の低血糖が発現、報告されていました。これをカレンダー経時的に発生率の変化傾向としてみたところ、有意な減少傾向が確認され、年間減少率は8.4%(4.9~11.7%)だったそうです。
そして、低血糖発現の予測因子としては、これまでの低血糖発現歴や年齢、1型糖尿病と判明してからの罹患期間、アルブミン尿症状、HbA1c値が挙げられることが判明し、これらが低血糖リスクの上昇と関連するものであると考えられる結果になったとされています。
研究チームでは、今回の調査研究により、デンマークにおける1型糖尿病患者の低血糖発現は減少傾向にあることが分かったとし、徐々に血糖コントロールや病態の管理が適切に行えるようになってきていることを示しました。
そして、低血糖の発現歴や糖尿病の罹患期間、顕性アルブミン尿、HbA1c値といった要素が、低血糖の発現リスクを上昇させていることが明らかとなったため、これら因子により注意を向けていくことが、さらなるリスクの低減、低血糖予防につながるとして、臨床および公衆衛生の観点から、今後重要になるだろうと指摘しています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Incidence Trends and Predictors of Hospitalization for Hypoglycemia in 17,230 Adult Patients With Type 1 Diabetes: A Danish Register Linkage Cohort Study
http://care.diabetesjournals.org/