昨今、高額な新薬薬価や医療費の増大などに注目が集まっていますが、米製薬大手のEli Lilly(イーライ・リリー)が現地時間の13日、来年1月から米国において一部の患者に対し、糖尿病患者向けのインスリン薬を最大4割引に値下げして提供することを決めたと発表し、話題を呼んでいます。
高額な負担となっている人々への提供額を引き下げ
Eli Lillyが発表したところによると、無保険者や高額控除可能な保険プランの控除段階にあるような、薬剤の小売価格全額を負担している人などに対し、来年1月1日からインスリン薬の提供価格を割り引くといいます。
米国では製薬会社が医薬品の価格を自由に設定でき、無保険者の場合はその正規価格を全額負担、健康保険など各種保険加入者は、その保険による割引が適用された額を負担する仕組みとなっています。
昨今の保険給付設計の変更により、一部の人々ではインスリン薬を用いる上での費用負担が増加したといい、多くのケースでは手ごろな価格で提供されているものの、被保険者でも、高額控除制度で控除額が満たされるまで、正規小売価格とほぼ同様あるいはそのまま全額の価格を負担しなければならない状況が出てきているそうです。
そこで、こうした全額負担を強いられているような人々をサポートするための割引オプションを決定、正規価格に比べると40%の割引で手に入れられるようにするとしました。
Express Scriptsとパートナーシップにより実現
この割引オプションは、Eli Lillyが米薬剤給付大手企業のExpress Scriptsとパートナーシップを締結して提供するもので、Eli Lillyの取り扱うインスリン薬3種に適用されます。
開始は、多くの健康保険プランの新控除可能期間導入と一致する2017年1月1日で、対象となるインスリン薬は、「Humalog」(インスリンリスプロ注射100単位/mL)、全「Humulin U100製剤」(インスリンヒューマン注射100単位/mL)、そして「BASAGLAR」(インスリングラルギン注射100単位/mL)となっています。
ちなみに「BASAGLAR」は、Eli LillyとBoehringer Ingelheim(ベーリンガー・インゲルハイム)によって今月導入される長時間作用型人工インスリン製剤で、成人および小児の1型糖尿病、成人2型糖尿病の血糖コントロールを目的に用いられるものとなります。同剤は糖尿病性のケトアシドーシス治療においては、用いることが禁じられています。
この割引オプションは、日々の治療、血糖コントロールにおける負担軽減となる可能性がありますが、これを利用する場合、いったん加入する健康保険プラン外に出ることとなるため、負担した新たな価格が年間控除額に適用されなくなることもあります。
そのため利用を検討する場合には、現在の処方箋における保険オプションとよく比較し、いずれを選択することが最善であるか確認するようにとも呼びかけられています。
日本と状況は異なりますが、個々の病態に合わせ、適切な療法を組み合わせて継続していくことが、その後の効果に多大な影響を及ぼす糖尿病の特性を考えると、誰もが手の届く薬価、手の届く医療であることは、とても重要なことといえます。
今後は社会全体として、医療費の増大を防ぎ、健康な生活を保つ発症と重症化の予防に力を入れるとともに、手の届く医療を実現するための環境整備も欠かせません。
(画像は米Eli Lilly ホームページより)

Eli Lilly プレスリリース
https://investor.lilly.com/