糖尿病の場合、その本当の恐ろしさは合併症にあるともいわれ、さまざまな症状、疾患が引き起こされることが知られています。なかでも、眼疾患である糖尿病性網膜症は、成人の失明原因としてトップにあがるものであり、失明を回避するには、できる限り早期に兆候を発見し、適切な治療を開始することが欠かせません。
Googleがディープラーニング技術でいち早く異常を検出
糖尿病性網膜症の発現は、通常、専門医師が網膜写真を調べて見出すものとなっていますが、微細な早期の異常を見抜くには実地経験と熟練した技術、専門的訓練が必要とされ、十分なスキルを持つ眼科専門医は世界的に不足している状況にあります。
こうした現況を受け、米Googleは、糖尿病性網膜症を網膜写真から早期に発見することを可能とするディープラーニング向けアルゴリズムを開発しました。現地時間の11月29日に発表されたもので、このアルゴリズムを用いることにより、卓越した眼科専門医と同程度の精度で糖尿病性網膜症の兆候を発見することができたそうです。
糖尿病性網膜症では、まず網膜に付着する硬性白斑というものが現れ、続いて網膜の血流が悪化して軟性白斑を生じ、虚血を補おうと新生血管が生み出されるといった時系列変化がみられます。眼科専門医は、患者の網膜写真から、こうした変化を見つけ出し、微小動脈瘤や出血、硬質浸出液といった病変種類によってその重症度を判定するといった診断を行っています。
Googleでは、こうした画像診断の手法から、機械学習技術や画像処理技術が応用できると判断。インドと米国の眼科専門医54人と協力し、技術研究員に、128,000枚にも及ぶ網膜画像を用いたディープラーニングを実行させて、コンピュータによる糖尿病性網膜症検出を試みました。
眼科医平均スコアを超える検出指標数値を記録!
Googleは今回、9,963の症例画像に対し、開発したアルゴリズムと眼科専門医で、糖尿病性網膜症検出の試験を実施し、患者に症状が現れていない場合に検査結果が陰性となる確率の特異度と、検出感度をスコアとしてチェックしました。
その結果、この特異度と検出感度の値を組み合わせて算出する指標の「F-score」で、Googleのディープラーニングを活かしたアルゴリズムは、0.95という値を記録したそうです。一方、8人の眼科専門医の平均記録は0.91で、正確さはほぼ同精度、むしろわずかながらアルゴリズムの方が高いという結果になっています。
Googleでは、実用化にはまだ多くのハードルがあり、画像認識処理だけでなく、その他のスクリーニング方法とも組み合わせるなど、さらなる研究と開発が必要になるとしていますが、検査に必要なリソースが限られる現在の状況を鑑みれば、この技術が適切な医療の助けになる可能性は高いとしています。今回の驚くべき結果は、米国の専門誌「JAMA」にも掲載されました。
なお、今回は2Dの写真画像が用いられましたが、実際の診察では光干渉断層による3D画像なども利用されるため、Googleは同社のAIプロジェクト「Deep Mind」で、機械学習による3D画像解析にも取り組み始めているそうです。
(画像はプレスリリースより)

Google Research Blog 該当発表記事(プレスリリース)
https://research.googleblog.com/JAMA : Development and Validation of a Deep Learning Algorithm for Detection of Diabetic Retinopathy in Retinal Fundus Photographs
http://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2588763