糖尿病の多くは、遺伝や生活習慣の乱れが発症原因となる2型糖尿病ですが、一方で主に自己免疫によって生じる1型糖尿病もあります。1型糖尿病では、発症時から膵臓のβ細胞が破壊され、全くインスリンが産生・分泌できなくなってしまうことが知られていますが、詳細な原因など、依然よく分かっていない部分も多く残されています。
ヒ素代謝が関連、血漿中葉酸濃度などの相互作用が働く可能性
こうした1型糖尿病について、新たな知見を示す研究が、「Diabetes Care」オンライン版に11月11日付で掲載されました。これは、Maria Grau-Perez氏らの研究チームによって行われた研究で、糖尿病発症とヒ素との関連性を検討しています。
研究チームは、22歳未満の糖尿病患者として、1型糖尿病429人、2型糖尿病患者85人の合計514人に参加してもらい、その対照群となる174人の被験者データとあわせて、ヒ素と1型・2型糖尿病の発症について調べました。
解析の結果、無機ヒ素、モノメチル化ヒ素、ジメチル化ヒ素の合計であるヒ素の濃度総和は、1型糖尿病、2型糖尿病発症のいずれとも関連していませんでした。
一方、濃度総和に対する無機ヒ素、モノメチル化ヒ素、ジメチル化ヒ素の相対比率、四分位範囲で相当する濃度の差を、比較のため再調整したところ、オッズ比は1型糖尿病で、無機ヒ素が0.68、モノメチル化ヒ素が1.33、ジメチル化ヒ素が1.28となりました。2型糖尿病では、これがそれぞれ0.82、1.09、1.17となっています。
1型糖尿病発症におけるヒ素代謝はさらなる研究対象として注目のものに
また、相互作用解析において、モノメチル化ヒ素の比率による1型糖尿病患者でのオッズ比は、血漿中に含まれる葉酸レベルが中央値よりも高い群で1.80、中央値よりも低い群では0.98となり、葉酸の濃度レベルで有意な違いがみられる結果になったことが報告されました。
今回の結果から、研究チームでは、無機ヒ素の比率が低い場合に対し、モノメチル化ヒ素およびジメチル化ヒ素の比率が高いことは、1型糖尿病のオッズ比の高さと関連性があり、それは血漿中の葉酸レベルによる潜在的な相互作用を伴ったものであることが確認されたとしています。
そして、代謝経路のバイオマーカーとの相互作用など、1型糖尿病の発症におけるヒ素代謝の役割については、今後さらなる研究を進めていくべきところであるだろうと結論づけました。
病態の詳細な解明と画期的な治療法の開発に向け、さらなる研究の進展が期待されます。
(画像はイメージです)

Diabetes Care : The Association of Arsenic Exposure and Metabolism With Type 1 and Type 2 Diabetes in Youth: The SEARCH Case-Control Study
http://care.diabetesjournals.org/