糖尿病の患者数は世界全体で4億1,500万人以上といわれ、そのうち1億9,300万人は未診断の状況にあると推計されています。糖尿病の有病者は今後も増加するとみられ、2040年には世界で6億4,200万人が患者となるのではないかという予測もあります。
新たな配合剤が欧州で販売承認を取得
こうした深刻な糖尿病の広がりを背景に、新たな治療アプローチの開発も進んでいます。ドイツのベーリンガーインゲルハイムと米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは11月22日、両者で開発中のエンパグリフロジンとリナグリプチンの配合剤「Glyxambi」(製品名)に関し、欧州委員会(EC)から、2型糖尿病成人患者の糖尿病治療を適応として、EUにおける製造販売承認を取得したことを明らかにしました。この内容は、12月5日付でベーリンガーインゲルハイム ジャパンからも公表されています。
「Glyxambi」は、ナトリウム依存性グルコース共輸送担体(SGLT2)阻害薬のエンパグリフロジン(製品名「ジャディアンス」)と、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬のリナグリプチン(製品名「トラゼンタ」)の配合錠であり、別々に服薬することなく、治療を行うことが可能になります。
エンパグリフロジンは、1日1回の経口薬として用いられるもので、食事療法と運動療法のみでは十分な血糖コントロールが得られない患者に、忍容性のためメトホルミン治療が適切でないと判断される場合はこの薬剤の単独投与で、またさらに血糖コントロール不良な患者の場合にはインスリンを含む他の血糖降下薬と併用投与する薬剤として広く使用されています。
リナグリプチンは、DPP-4阻害薬に分類されるもので、SU薬や即効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、インスリン製剤といった作用機序の異なる薬も多くあり、これらとの併用が可能な薬剤として知られています。また肝臓でほとんど代謝されず、主に未変化の状態で胆汁に排泄されるため、患者の腎機能・肝機能程度にかかわらず同一用量で投与できるという特徴もあります。
3つの第3相臨床試験に基づいて承認を取得
今回の欧州における販売承認は、3つの第3相臨床試験データに基づいてなされました。まず、メトホルミンを用いている成人の2型糖尿病患者を対象に、24週間にわたる2つの試験が行われています。
1つは、「ジャディアンス」と「トラゼンタ」の群と、「トラゼンタ」とプラセボを投与した群の比較、2つ目は「トラゼンタ」と「ジャディアンス」の投与群と、「ジャディアンス」とプラセボを投与した群の比較試験です。なおこの試験では、それぞれエンパグリフロジンとして10mgの用量の場合と、25mgの用量の場合を、別個の研究結果として分析するかたちをとっています。
この2試験の結果、プラセボ投与群に比べ、「ジャディアンス」が「トラゼンタ」とメトホルミンを用いる患者に追加された群で、また「トラゼンタ」が「ジャディアンス」とメトホルミンを用いる患者に追加された群において、統計的に有意な血糖値の低下を確認することができました。
さらに「ジャディアンス」と「トラゼンタ」を組み合わせ、メトホルミン治療に追加した場合について、調査する52週間の試験が3つ目のものとして実施されています。この試験結果では、「ジャディアンス」と「トラゼンタ」の併用により、メトホルミン使用患者は、「ジャディアンス」または「トラゼンタ」単独で治療された場合に比べ、臨床的・統計的に有意な血糖値の低下が認められたそうです。
なおこれらの試験における安全性プロファイルは、いずれにおいてもほぼ同様でした。
欧州における、エンパグリフロジンとリナグリプチンの配合剤は、2型糖尿病成人患者で、メトホルミンまたはSU薬(もしくは両方)と、エンパグリフロジンとリナグリプチンの配合剤を構成するいずれかの成分による治療では、十分な血糖コントロールが得られない場合、もしくはすでに患者がエンパグリフロジンとリナグリプチンの併用による治療を受けている場合に用いる治療薬として承認されています。

ベーリンガーインゲルハイム プレスリリース
https://www.boehringer-ingelheim.com/ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社 プレスリリース
https://www.boehringer-ingelheim.jp/