互いがそれぞれの大きなリスク要因としても深い関係性をもっている肥満や糖尿病などの生活習慣病では、食事内容の改善に取り組むことが不可欠ですが、満足感の得られない食事は暮らしの楽しみを大きく奪うものでもあり、継続することが難しいものでもあります。
玄米食なら「γ-オリザノール」が満足感も与えてくれる!
しかし健康食でありながら、美味しさや満腹という幸せ感も高めてくれるという優れた機能を、身近な“玄米”が有していることが判明し、あらためて注目を集めるところとなっています。この研究成果をまとめた論文は、「Diabetologia」のオンライン版で5月20日に公開されたほか、このほど最新8月号誌面に掲載されることが決定しました。
研究を行ったのは、Chisayo Kozuka氏、Hiroaki Masuzaki氏らのグループです。近年の研究結果から、肥満につながる高脂肪食への好みは、アルコールやニコチン、麻薬などへの依存と共通のメカニズムをもったものであることが実証されてきており、脳における重要なバランス調節因子である、ドーパミンD2受容体シグナル伝達を弱め、制御しようとしても、快楽を求めて過食してしまうことが分かってきました。
研究グループは、これまでに玄米特有の成分である「γ-オリザノール」に着目し、この成分が視床下部における制御を介して高脂肪食に対する嗜好性を弱められる力をもっていることを確認しています。そこで今回、さらにマウスを用い、γ-オリザノールの脳における調節機能を詳しく調べたそうです。
玄米で好みが変化、幸福感を得ながら健康に!
研究グループでは、高脂肪食を与えたオスのマウスにγ-オリザノールを経口投与し、ドーパミンD2受容体のシグナル伝達に関する分子の線条体レベルを評価、その後の高脂肪な食物に対する好みの変化などについて調べました。また、DNAレベルでのγ-オリザノールのもたらすシグナル阻害効果についても評価を試みています。
その結果、高脂肪食を与えるとマウスの脳内で、ドーパミンD2受容体のプロモーター領域におけるドーパミンD2受容体の産生が、DNAメチル化の増加を介し、有意に減少させられていることが確認できました。しかしここへγ-オリザノールを経口投与すると、DNAメチルトランスフェラーゼの発現と活性が減じられ、減っていた線条体におけるドーパミンD2受容体レベルが回復しました。
DNAメチルトランスフェラーゼの強力な阻害剤である薬剤も同様に働き、マウスの高脂肪食に対する嗜好性を改善、健康的な食餌を好んで摂取するようになったそうです。また、酵素活性の分析でも、γ-オリザノールがDNAメチルトランスフェラーゼの活性を阻害していることが明らかとなり、科学的にその働きが実証されました。
これらの結果から研究グループでは、高脂肪食の摂取により、肥満マウスで依存症的に減じられていたドーパミンD2受容体産生が、DNAメチルトランスフェラーゼの働きを阻害する力をもったγ-オリザノールを摂ることで回復、機能として改善され、健康的に満足感を得られるようになったとし、玄米に含まれるγ-オリザノールが、有望な抗肥満物質になるといえるとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetologia : Impact of brown rice-specific γ-oryzanol on epigenetic modulation of dopamine D2 receptors in brain striatum in high-fat-diet-induced obesity in mice
https://link.springer.com/article/10.1007/