糖尿病の深刻かつ発症数の多い主な合併症のひとつに、糖尿病性腎症がありますが、この糖尿病性腎症の進行を測る上で、非侵襲的ながら正確に評価を行うことができる手法としての画像化に、大阪大学の研究グループが成功しました。
従来困難とされたMRIでの画像化に成功!
大阪大学が18日に発表したところによると、これは同大学大学院医学系研究科の貝森淳哉寄附講座准教授(先端移植基盤医療学)、猪阪善隆教授(腎臓内科)、高原史郎寄附講座教授(先端移植基盤医療学)らの研究グループによる成果で、「Scientific Reports」オンライン版に同日付で論文掲載されました。
腎疾患の進行をみる上で重要な指標となる腎臓繊維化は、腎生検によって判定しますが、人工透析にいたるケースが最も多い糖尿病性腎症では、浮腫の影響もあり、繊維化のMRIによる画像化は、拡散MRIという方法を用いても困難とされ、浮腫の影響によらない新たな撮影方法が求められています。
DTI-MRIとスピンエコー法の組み合わせで成功
今回研究グループは、糖尿病モデルのラットを用い、この困難な腎臓繊維化の画像化に成功したと発表しました。撮影にあたり、拡散MRIを多方向から撮影して画像化するDTI-MRI(拡散テンソル画像MRI)と、より感度の高い撮影方法で分子にパルスを照射するタイプのスピンエコー法を組み合わせた手法を新たに開発しています。
この新手法で、糖尿病モデルラットの腎臓を撮影したところ、評価可能なレベルの画像を得ることができたそうです。従来の方法では、約3時間と長時間にわたるMRI撮影が必要で、その間、腎臓を静止させておかねばならないといった問題もありましたが、研究グループは長時間でも腎臓の血流や温度を変化させることなく静止させられる特殊な器具の開発にも成功、これを用いることで、腎臓を静止させて撮影することができるようになったとしました。
研究グループでは、今回開発した画像撮影方法や器具をもとに、生体で腎臓を固定する方法や、より感度の良い撮影方法へと改良を加える研究を進めることで、糖尿病による腎障害の進行程度を、非侵襲的かつ正確に評価する方法を確立できる可能性があり、この実用化を進めれば、人工透析にいたる患者を減少させられるものと期待されるとしています。
(画像はプレスリリースより)

大阪大学 プレスリリース
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170718_3Scientific Reports : Visualization of kidney fibrosis in diabetic nephropathy by long diffusion tensor imaging MRI with spin-echo sequence
https://www.nature.com/articles/s41598-017-06111-4