インスリンの吸収には血流が深く関係し、血流が盛んであれば吸収も速く、少なければゆっくりになります。インスリンそのものにも、微小血管血流や筋細胞への基質送達を増強する力がありますが、こうした作用はインスリン抵抗性の獲得や2型糖尿病の発現によって妨げられ、毛細血管の障害および血流の悪化、機能不全、さらにインスリンも効きにくくなるという悪循環が生まれてしまうのです。
レジスタンス運動での改善効果を検証
こうした悪循環を断ち切る方法として、レジスタンス運動の実践に注目が集まっており、このほどその効果と関連を検証した研究結果が「Diabetes Care」オンライン版に7月7日付で掲載されました。
研究を行ったのはRyan D. Russell氏らのグループで、2型糖尿病の患者17人を対象に、6週間の全身レジスタンス運動を実践してもらい、その前後でどのような変化がみられるか調査研究を行っています。被験者は11人が男性、6人が女性で、平均年齢は52歳でした。
被験者には、レジスタンス運動の前後で1晩絶食してもらい、脂質、血糖値、HbA1c値、インスリン、糖化最終産物を測定する検査、経口グルコーステスト(OGC・50グラム×2時間)を受けてもらっています。
また前腕筋の微小血管血流は、経口グルコーステスト後のベースライン時および60分後に、コントラスト強調型音波測定により、また皮膚微小血管血流はレーザードップラーフローメトリーによる測定で評価し、体組成は全身DEXAスキャンでチェックしたとされています。
血流と血糖コントロールが同時に改善
分析の結果、レジスタンス運動を行った後では、経口グルコーステストに対する筋肉内での微小血管血流応答は増加、改善したものの、皮膚微小血管血流応答には変化がみられませんでした。
一方、空腹時血糖値やHbA1c値、経口グルコーステスト中の曲線下グルコース面積(AUC)には改善がみられ、血糖コントロールが良好になっていることが確認されたほか、除脂肪体重の増加、空腹時の血漿トリグリセリド(中性脂肪)の減少、総コレステロール値の低下、糖化最終産物の減少、総体脂肪の減少といった変化が確認できたそうです。
レジスタンス運動後の筋肉における微小血管血流応答の変化は、年齢や性別、体脂肪率、除脂肪体重の率でデータ補正を行っても、空腹時血糖やHbA1c値の低下、AUCの減少と有意に関連したことも報告されています。
これらの結果から研究グループでは、レジスタンス運動を実施することにより、骨格筋肉内の微小血管血流と血糖コントロールを同時に改善することができるとしたほか、これまで実証されていなかったレジスタンス運動による、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善と微小血管血流応答の関連性を強く示唆するデータが得られたとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Skeletal Muscle Microvascular-Linked Improvements in Glycemic Control From Resistance Training in Individuals With Type 2 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/