糖尿病患者の場合、そうでない人に比べて心筋梗塞の発現リスクが高くなるため、予防的な治療・処置をとることが推奨されています。しかし冠動脈造影(CAG)を行っても、冠動脈疾患(CAD)が認められなければ、心血管系のリスクは通常の人と同等レベルと考えてもよい可能性が出てきました。
デンマークでの大規模研究から最新報告
この研究は、糖尿病の有無やCADの有無などから、心疾患のリスクを予測的に評価することを目指したもので、Kevin K. W. Olesen氏らのグループが実施、その成果をまとめた論文は「Diabetes Care」オンライン版に6月8日付で掲載されています。
研究グループは、2013年1月1日~2012年12月31日のあいだに、冠動脈造影(CAG)検査を受け、デンマークのWestern Denmark Heart Registryに参加した患者93,866人を対象に、コホート研究を実施、収集されたデータをもととして、CAGによって見出された閉塞性CADと糖尿病の有無に応じた層別化を行い、リスクの検討を行いました。主要評価項目は死亡、心臓死、心筋梗塞の発現としています。
閉塞性CADがみられなければリスクに差はなし
対象者となった93,866人のうち、冠動脈造影検査を行った時点で糖尿病を発症していた人は、全体の13.4%にあたる12,544人でした。調査研究のフォローアップ期間は、中央値で4.1年となっています。
結果に影響を与え得る要素を考慮し、データ補正を行った調整済み値で比較分析を行ったところ、閉塞性冠動脈疾患(CAD)が認められない場合、糖尿病の有無にかかわらず死亡のリスク、心臓死のリスク、心筋梗塞の発現リスクは同等でした。
なお糖尿病もCADも有していない人に比べ、CADが認められない糖尿病患者では、スタチンの利用率が46.0%対75.3%、アスピリンの利用率が52.7%対65.7%といずれも有意に高く、これらの服用を行っている人が多かったと報告されています。
これらの結果から研究グループでは、スタチンおよびアスピリン治療を受けている糖尿病患者の場合、血管造影でCADが認められないならば、糖尿病を発症していない患者とのあいだに、心血管系イベント発現リスクの差はみられないとまとめました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Patients With Diabetes Without Significant Angiographic Coronary Artery Disease Have the Same Risk of Myocardial Infarction as Patients Without Diabetes in a Real-World Population Receiving Appropriate Prophylactic Treatment
http://care.diabetesjournals.org/content/40/8/1103