糖尿病を発症すると心血管系疾患のリスクが顕著に上昇しますが、1型糖尿病においても脂質異常症の一部に起因する心血管系疾患のリスクが10倍程度上昇するとされ、コントロール不良な患者の場合では、アポリポタンパクBレベルの上昇とともに、総コレステロール値、LDLコレステロール値の上昇がみられることが知られています。
肥満や2型で増えるPCSK9、1型では?
脂質異常症はとくに女性の1型糖尿病患者で注意が必要とされ、健康リスクを考える際、より緻密なコントロールを行っていかねばならないと考えられています。近年の研究で、その阻害剤が脂質異常症治療薬となる、プロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)について、肥満や2型糖尿病患者で増加していることが判明しました。しかし1型糖尿病患者で、このPCSK9レベルがどのようになっているかは依然不明とされているため、今回ある研究チームが調査を実施、その結果を報告しています。
研究を行ったのは、Amy E. Levenson氏、Sudha B. Biddinger氏らのグループで、研究成果をまとめた論文は「Diabetes Care」オンライン版に6月6日付で掲載されました。
研究グループは、1型糖尿病患者のコホート研究で、PCSK9レベルを測定、対照群と比較・分析しました。試験中にスタチン系の薬剤を服用した患者は除外し、結果に影響を与えうる要素に関しては考慮の上、データ補正を行っています。
若年と若年女性患者で高濃度、コントロール不良でも高め
対象となった1型糖尿病患者に関しては、収縮期および拡張期の血圧、アポリポタンパクBレベル、総コレステロールやトリグリセリド(中性脂肪)、LDLコレステロール、HDLコレステロールの測定なども行いました。
分析の結果、とくに女性で1型糖尿病を発症している患者の場合、PCSK9の血中濃度が有意に高く、PCSK9の値は総コレステロールやアポリポタンパクBレベルの値と有意な相関関係にあることが判明しています。また1型糖尿病患者に限定すると、PCSK9濃度の値は、HbA1c値やトリグリセリド、総コレステロール、LDLコレステロール、アポリポタンパクBレベルの値と、いずれも有意に関連していました。
今回の研究で判明した重要なポイントとして、研究グループは以下の3点を挙げています。まずPCSK9の血中濃度レベルは、非糖尿病の被験者よりも1型糖尿病患者で高くなっていること、そして第2に1型糖尿病患者の被験者では、PCSK9濃度がHbA1c値と創刊誌、血糖コントロール不良な患者の場合より高くなる傾向があること、そして第3にこれまでの他の集団におけるPCSK9関連の研究で報告されたのと同様、PCSK9濃度は女性でより高いということです。
若年層を対象とするコホート研究を用いた今回の結果から、研究グループでは、PCSK9の血中濃度レベルは、男性に比べて女性において高く、1型糖尿病を発症していると高い傾向があること、そしてそれはHbA1c値とも有意に関連することが分かったとまとめました。
また今後、脂質異常症においてPCSK9が及ぼす影響と、とくに若年女性の1型糖尿病患者で生じる心血管系疾患リスクの増加を詳細に検討・評価する研究をさらに進める必要があるともしました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : PCSK9 Is Increased in Youth With Type 1 Diabetes
http://care.diabetesjournals.org/content/40/7/e85