2型糖尿病の患者では、心血管系疾患の発現リスクが増大することが知られており、とくにその将来における心不全発症リスクがどの程度であるかを踏まえ、適切に治療管理することが重要となっています。
ADVANCE試験のコホート内対照研究で心不全リスクのマーカーを検証
この2型糖尿病患者における心不全の発生、進行を予測してリスクを把握するため、現在もさまざまな関連因子が用いられていますが、新たにN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)を追加すると、予測精度を向上させられるとする研究結果が報告されました。
これはToshiaki Ohkuma氏らの共同研究グループによるもので、その成果をまとめた論文が「Diabetes Care」オンライン版に7月6日付で掲載されています。
研究グループは今回、高い心血管系疾患リスクをもつ2型糖尿病患者を対象として大規模に実施された、血圧と血糖値の管理が及ぼす影響をみるADVANCE試験の被験者3,098人を対象に、入れ子状のコホート内症例対照研究を実施、心不全予測能でみた複数のバイオマーカーに関する評価・検討を行いました。
NT-proBNPが安定的に強く関連、予測能向上に寄与
因子としてNT-proBNP、高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)、インターロイキン-6(IL-6)、高感度C-反応性タンパク(hs-CRP)を調べたところ、いずれのバイオマーカーでも高い値が心不全の発生率および進行度の高リスクと有意に関連しており、この関連性は主要なリスク因子を考慮したデータ補正後も維持されることが分かりました。
値が1上がることによるハザード比の上昇は、NT-proBNPで3.06、hs-cTnTで1.50、IL-6は1.48、hs-CRPは1.32となっています。
因子の組み合わせによる精度向上への効果をみると、従来の因子にNT-proBNPを追加した場合にのみ、この先5年における心不全のリスク予測能が0.8162から0.8800へと改善、向上することが分かりました。また継続的な純再分類改善度でも良好な結果が得られています。
これに対し、hs-cTnTやIL-6、hs-CRPを従来因子に追加しても、安定的に予測能を改善する組み合わせを見出すことはできませんでした。
これらの結果から研究グループでは、NT-proBNPのみが、これまでの予測モデルに追加することで、2型糖尿病患者における将来の心不全リスク予測能を、その他の臨床的なリスク因子・バイオマーカー以上に、高い水準かつ安定的に向上させられることが判明したとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : Cardiac Stress and Inflammatory Markers as Predictors of Heart Failure in Patients With Type 2 Diabetes : The ADVANCE Trial
http://care.diabetesjournals.org/