食物繊維が豊富な食生活は健康に良いものという認識は広く浸透しており、とくに白米よりも玄米を摂取する方がヘルシーで糖尿病予防や病態の改善にも良さそうと感じている方も多いことと思います。しかし実際に代謝系へどのような影響がもたらされるのかについては、いまだ明らかにされていない点も多く、メカニズムの解明や科学的エビデンスのさらなる蓄積が求められるところともなっているのです。
玄米食にすると何が良いの?
そこでKeiko Kondo氏、Katsutaro Morino氏らの研究グループはこのほど、2型糖尿病患者が食物繊維を豊富に含む玄米食を摂取すると、どのようなメリットが得られるのか、検証する調査研究を行いました。その成果をまとめた論文が「PLOS ONE」オンライン版に、6月29日付で掲載されています。
研究グループは、2012~2014年に登録された外来診療を受けている2型糖尿病患者28人を対象に、主食を玄米とした食事を摂取する群14人、主食を白米とした食事を摂取する群14人に、それぞれ無作為で割り付け、8週間追跡調査を行いました。
食物繊維が豊富な食生活を送ると、心血管保護に良いと考えられているため、主要評価項目を血管内皮機能における変化とし、空腹時に測定するプレスチモグラフィー法を用いた、反応性充血時の血流増加面積と駆血中の血流減少面積から割り出すFDRという指標でこれを評価することとしています。なお、FDRは値が大きいほど、血管内皮機能が良好であることを示します。
そのほか副次的評価項目として、HbA1c値の変化、食後血糖値の上昇傾向、酸化ストレスおよび炎症マーカーも調べています。被験者の患者に与えられた食事の、玄米および白米はいずれも250kcal分で、食後血糖値の上昇度は、この食事を摂取した後のグルコース曲線下面積を、ベースラインと調査終了との間で比較し、推計したそうです。
HbA1c値の変化なしに血管内皮機能を改善、血糖値変動の幅が減少か
その結果、空腹時測定のFDRで比較評価した8週間後の血管内皮機能の変化は、玄米食の群で20.4%となったのに対し、白米食群ではマイナス5.8%となり、統計学的に有意な、非常に大きい差がみられるものとなりました。
一方で食物繊維の総摂取量における両群の差は比較的小さく、玄米食群で1日あたり5.6グラム、白米食群ではそれより1.2グラム少ないものとなっています。総コレステロール値やHDLコレステロール値、LDLコレステロール値、酸化ストレスの指標となる尿中8-イソプロスタン値といった項目では、両群間に有意な差は認められませんでした。
高感度C反応性タンパク質のレベルは、玄米食群で0.01μグラム/L、白米食群でマイナス0.04μグラム/Lと、玄米食群で改善する傾向がみられています。またグルコース曲線下面積については、玄米食群で、大きな差といえるほどではないものの、一貫して小さく抑えられ、血糖変動の幅が小さくなっていることがうかがわれました。HbA1c値における変化では、両群間の差はみられていません。
これらの結果から研究グループでは、食物繊維を豊富に含む玄米をとり入れた食生活にすると、HbA1c値の変化なしに、おそらくは血糖変動の幅を小さくするというメカニズムから、血管内皮機能を効果的に改善させられるというメリットが発揮されている可能性が高いとまとめています。
(画像は写真素材 足成より)

PLOS ONE : Fiber-rich diet with brown rice improves endothelial function in type 2 diabetes mellitus : A randomized controlled trial
http://journals.plos.org/