2型糖尿病を発症すると、有害な心血管系イベントを発現しやすくなり、最悪の場合には死にいたるため、早期から患者におけるリスク管理を徹底することが重要と考えられています。
長期リスクを冠動脈CT血管造影で評価
そうしたリスク管理を考える上で重要な知見をもたらす最新の研究報告が「Diabetes Care」オンライン版に、6月29日付で掲載されました。この研究では、冠動脈CT血管造影法を用いた長期的リスク評価における効果が検証されています。
研究を実施したのは、Kwan Yong Lee氏らのグループで、彼らは現時点では、心血管系疾患兆候のみられていない2型糖尿病患者を対象に、比較的新しい非侵襲的診断検査方法である、冠動脈CT血管造影(CCTA)を行うことで、長期的なリスクをどの程度予測できるか、古くから参照されてきた危険因子と比較して検討しました。
対象となったのは、無症候の2型糖尿病患者933人で、この被験者らには全員、CCTAの画像診断を受けてもらいました。この結果を分析し、各冠状動脈セグメントにおいて、50%以上の閉塞性がみられた場合、狭窄が検出されたものと考えて、冠動脈疾患(CAD)の程度や重症度スコアの評価を行っています。
研究グループは、この状態で前後2.1年、中央値で5.5年の追跡調査を実施し、全死因による死亡率、非致死性の心筋梗塞、冠動脈再狭窄の発現を主要評価項目として調べたそうです。
従来のリスク因子に追加すると予測能が向上
分析の結果、被験者のうち、有害な心血管系イベントを発現した2型糖尿病患者94人では、CCTAで検出した閉塞性のCADについて、より深刻な程度およびより高い重症度スコアが示されていました。結果に影響を与え得る交絡因子を調整したデータ補正後もその関連性は維持され、CCTAで検出された狭窄は独立した有意な予測因子であることが認められています。
さらに、年齢や性別、高血圧、高脂血症、喫煙習慣、推定糸球体濾過率、HbA1c値といった、既知の関連因子による、C-統計での、心血管系イベント発現に対するリスク予測モデルのパフォーマンスは、CCTAでのCAD所見を追加することで有意に改善され、より高い効果を発揮するものとなることが確認されました。
一方で対照的に、冠動脈カルシウムスコアのリスク予測パフォーマンスは向上しなかったことも報告されています。
これらの結果から研究グループでは、現時点で兆候が現れていない2型糖尿病患者でも、すでに認知・利用されている予測因子に、さらにCCTAで検出された狭窄といった所見を加えると、心血管系疾患発現に対する長期的リスクをみる予後予測能が有意に向上するとし、その有用性を訴えました。
(画像は写真素材 足成より)

Diabetes Care : CT Angiography Images of Coronary Artery Stenosis Provide a Better Prediction of Risk Than Traditional Risk Factors in Asymptomatic Individuals With Type 2 Diabetes : A Long-term Study of Clinical Outcomes
http://care.diabetesjournals.org/