2型糖尿病の発症には、さまざまな要因が複雑に関係していることが分かってきていますが、このほど前立腺肥大症の治療などを目的に使用されているホルモン系薬剤で、発症リスクが増大する可能性があることが新たに報告されました。
デュタステリドの長期治療が影響
研究を行ったのは、Abdulmaged Traish氏らのグループで、成果をまとめた論文は「Hormone Molecular Biology and Clinical Investigation」オンライン版に6月21日付で掲載されました。この研究はデュタステリドによる治療を長期間受けることで、代謝機能に有害な副作用が現れるとしています。
研究グループは、47歳から68歳までの平均年齢57.78歳となる230人の男性を対象に、1日あたり0.5mgのデュタステリドによる治療を行って、後ろ向き追跡コホート研究による調査を行いました。また同時に52歳から72歳、平均年齢62.62歳となる230人の男性を対象として、0.4mgのタムスロシンによる治療を行い、第2コホートとして追跡調査を行っています。
合計460人の全被験者は36~42カ月にわたる追跡調査を受け、3~6カ月の間隔で、また外来診療時に、それぞれ血糖値、HbA1c値、総コレステロール値、LDL-コレステロール値、テストステロン、肝臓アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の測定のほか、国際指標の勃起機能アンケート、高齢男性症候群(AMS)および国際前立腺症状スコア(IPSS)による評価がなされています。
代謝機能のバランスが失われ糖尿病リスクなどが上昇か
分析の結果、デュタステリドによる長期治療を行うと、前立腺の体積やIPSSのスコア、前立腺特異抗原で評価される下部尿路症状の有意な改善が認められた一方、血糖値やHbA1c値、LDL-コレステロール値の上昇、ALTやAST活性、AMSスコア、テストステロンレベルなどの悪化も確認されました。
タムスロシンでの治療を行った群では、長期に及んでもこれらの項目に悪化はみられず、デュタステリドに特有な副作用であることが強く示唆される結果となったそうです。
今回の結果から研究グループでは、デュタステリドは、5α-レダクターゼ1型および2型の酵素を阻害し、グルココルチコイドとアンドロゲン代謝を損傷、目的の効果を発揮する一方で、代謝機能の不均衡を引き起こし、糖尿病の発症リスクを増加させるような血糖値、HbA1c値、脂質プロファイルの変化をもたらしうると指摘、長期にわたる治療を行う場合には、医師と患者が副作用として、事前によく話し合っておくことが望ましいとしました。
(画像は写真素材 足成より)

Hormone Molecular Biology and Clinical Investigation : Long-term dutasteride therapy in men with benign prostatic hyperplasia alters glucose and lipid profiles and increases severity of erectile dysfunction
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