現在糖尿病のインスリン治療では、注射の方法をとることが多く、不便さや扱いにくさ、日々の患者負担が課題となっています。そうした中で、より扱いやすい錠剤タイプの経口インスリン製剤の開発が進んでおり、臨床試験でも良好な結果が得られてきていることが分かりました。
米国糖尿病学会学術集会で報告
6月9日~13日にかけてサンディエゴで開催された第77回米国糖尿病学会学術集会で報告されたところによると、開発中の経口インスリン製剤「OI338GT」が、インスリングラルギン注射治療と同等の効果と安全性を有すると確認されたそうです。
「OI338GT」は、Novo Nordiskが開発を進めている錠剤で、特殊な腸溶性のコーティングを施したカプセルにインスリンを封じ込めたものとなっており、長時間作用型で、生理的なインスリン分泌と似た作用・効果を得られると期待されています。
今回結果が公開された試験は、この「OI338GT」について、インスリングラルギンとの比較により、2型糖尿病患者の治療における有効性と安全性を確認したものです。試験には、インスリン未治療の2型糖尿病患者50人(平均年齢61歳)が参加しました。
被験者となった患者は、メトホルミン単独療法あるいは他の経口糖尿病薬との併用療法で、7~10%のHbA1cレベルとなっていた人たちです。この患者らは、それぞれ「OI338GT」の1日1回錠剤服薬での治療を行う群と、インスリングラルギンU100の注射を1日1回行う群とに、同じ割合、無作為で割り付けられ、8週間の治療観察を受けました。
試験は二重盲検・二重ダミー試験としてデザインされており、錠剤と注射のそれぞれに偽薬を用意、すべての患者が1日1回の注射と1日1回の錠剤投与を受け、そのうちの1つにインスリンが含まれているというかたちで進められています。また、被験者が空腹時血糖値で80~126mg/dLの目標範囲を達成できるよう、追加の治療効果がみられなくなるまで、患者個々の必要に応じ、それぞれのインスリン用量を毎週調整して増やすようにしました。
インスリングラルギンと同等の結果、将来は手軽な飲み薬治療が可能に?
試験の結果、「OI338GT」の投与でインスリン治療を行った群も、インスリングラルギン注射で治療を行った群も、血糖値を初めとするパラメータに同等の改善がみられ、8週間での治療に有意な群間差は認められませんでした。
ベースライン時の患者におけるHbA1cレベルを、治療終了時の8週間時点と比較すると、OI338GT治療群はベースラインが8.1、治療終了時点が7.3、インスリングラルギン注射治療群はベースラインが8.2、治療終了時点が7.1になりました。
低血糖の発現報告は、いずれの群でも限定的で重篤なものはみられず、OI338GT治療群で6例7件、インスリングラルギン治療群で6例11件の発生となっています。そのほか、合計68件の有害事象が32人の患者で確認されましたが、いずれも重篤なものではなく、その発生割合やタイプは両群で類似していたため、同等の安全性を有するものと考えられました。
実際に錠剤によるインスリン服用で治療が行えるようになるまでには、今後のさらなる研究が必要とされていますが、インスリンを要する糖尿病患者が自己注射を行わなくてもよくなる可能性があり、早期の研究進展と開発に高い期待と関心が寄せられています。
(画像は米国糖尿病学会ホームページより)

American Diabetes Association(米国糖尿病学会) プレスリリース
http://www.diabetes.org/