近年、新タイプの超持効型インスリンとして、インスリン デグルデクが注目を集めていますが、そのインスリン デグルデクについて、心血管系イベントリスクの高い2型糖尿病患者に用いても、インスリン グラルギンとその安全性に差はないことを示す研究報告がなされました。
新規のデグルデクと既存のグラルギンで安全性や効果を比較
この研究を行ったのは、Steven P. Marso氏をはじめとする「DEVOTE試験」を実施したグループで、その研究成果は第77回米国糖尿病学会において報告されたほか、「The New England Journal of Medicine」オンライン版に6月12日付で掲載されています。
インスリン デグルデクは、1日1回の投与で、より安定した血糖降下作用を示すとされ、安定状態にある結合した単量体がゆっくりと体内で解離、持続的に血中へ移行することで、24時間を超えた非常に長い作用を持続させられるところが特徴となっています。成人患者はもちろん、青年期や小児期の糖尿病患者にも用いることができるため、期待の新規インスリンアナログ製剤といえるでしょう。
しかし現在までのところ、インスリン デグルデクに関する心血管系疾患のリスクを検証したデータが不足していることから、研究グループは、このインスリン デグルデクと、既存のインスリン グラルギンとで、心血管系イベントの発現リスクが高い患者を対象とした試験を実施しました。
試験は、二重盲検無作為化、治療標的型でデザインされ、7,637人の2型糖尿病患者が被験者として参加したものになっています。被験者のうち、85.2%にあたる6,509人が心血管系疾患か慢性腎疾患、またはその両方を合併して発現しており、リスクの高い状態にありました。ベースラインにおける平均年齢は65.0歳、糖尿病罹患期間は平均16.4年で、HbA1c値(糖化ヘモグロビンレベル)は中央値8.4%でした。また被験者の83.9%は、すでにインスリン治療を受けていたことも報告されています。
リスク・有害事象に差なし、重症低血糖はデグルデクの方が少ない結果に
被験者7,637人は、ランダムにインスリン デグルデクを用いる3,818人と、インスリン グラルギンU100を用いる3,819人に割り付けられました。評価における主要アウトカムは、主な心血管系イベントで、心血管系に起因する死亡、非致死性の心筋梗塞、非致死性脳卒中といったものの最初の発現になっています。
試験の結果、主な心血管系イベントの発現がみられたのは、デグルデク投与群で全体の8.5%にあたる325例、グラルギン投与群では全体の9.3%にあたる356例でした。24カ月間の試験期間経過後の平均HbA1c値は、両群とも中央値7.5%で同様でしたが、空腹時血糖の平均値では、デグルデク投与群が128mg/dLであったのに対し、グラルギン投与群は136mg/dLと、デグルデクの方が有意に低いという結果になったそうです。
また、重症低血糖と判断されたケースは、デグルデク投与群では全体の4.9%にあたる187例でしたが、グラルギン投与群では全体の6.6%にあたる252例で、1.7ポイントの絶対差が現れたとされています。なおその他有害事象の発現割合では、2群間における差が確認されませんでした。
これらの結果から研究グループでは、心血管系イベントの発現リスクが高い2型糖尿病患者で、インスリン デグルデクは、インスリン グラルギンに劣らない安全性を有しているとまとめています。
インスリン デグルデクの方が優れた効果をみせている点も確認され、既存製剤に比べて高い利便性を有するものとなることから、今後の臨床における活用が期待されます。
(画像は写真素材 足成より)

The New England Journal of Medicine : Efficacy and Safety of Degludec versus Glargine in Type 2 Diabetes
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1615692