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2026年07月28日(火)
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糖尿病からの腎臓病治療にも光、東北大チームがMuse細胞での修復効果を報告

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糖尿病からの腎臓病治療にも光、東北大チームがMuse細胞での修復効果を報告

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糖尿病の3大合併症とされるもののひとつに糖尿病性腎症があります。この糖尿病性腎症は、腎臓の糸球体が、高血糖による細小血管障害の影響を受けて傷つき、減少していくことで発生する疾患で、日本における腎不全の原疾患第1位であり、患者数も年々増加しています。損傷した腎臓は復元されることがなく、徐々に重症化すると、命を維持するための人工透析や移植治療以外に有効な治療法がなくなってしまう深刻なものです。

新たな多能性幹細胞「Muse細胞」でマウスの腎臓病が改善
こうした糖尿病などに由来する慢性腎臓病の画期的な治療法となりうる再生医療の研究報告が13日、東北大学からなされました。研究の成果をまとめた論文は「Journal of the American Society of Nephrology」オンライン版に7月4日付で掲載されています。

研究を行ったのは、東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野の出澤真理教授のグループと、日本大学医学部およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校のグループからなる共同研究グループで、彼らは腫瘍性をもたない新たな生体由来多能性幹細胞であるMuse細胞を静脈投与することで、慢性腎臓病モデルマウスの腎組織が修復され、腎機能が回復することを示しました。

Muse細胞は、生体由来の多能性幹細胞で、静脈投与により傷害組織へと集積し、その組織に応じた細胞へと自発的に分化することで、その組織を修復するはたらきをすることが判明しているものです。

腎臓病には多様な種類があり、原因や症状がそれぞれ異なりますが、今回研究グループでは、代表的な疾患タイプの、血液を濾過して尿を産生する糸球体が分節状に傷害され硬化する巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)に着目し、アドリアマイシンを投与することで作成したFSGSモデルマウスを用いて、Muse細胞を用いた治療効果の検証を行いました。

もとのマウスとしては、ヒト細胞を拒絶しない免疫不全のSCIDマウスと、正常な免疫機能を有する通常のマウスを用意し、両方を用いています。これはFSGSの病態が腎臓における炎症反応によって生じるため、免疫不全のSCIDマウスでは不完全な腎機能低下にしかならないこと、一方でヒト細胞を拒絶しないため腎臓でのヒトMuse細胞の集積とその後の糸球体細胞分化について十分な検証が行えるというメリットがあること、逆に通常の免疫機能をもつマウスでは、明らかな慢性腎臓病モデルが作れ、Muse細胞による機能回復についてしっかり検証できるものの、ヒトMuse細胞が異種細胞であることから、免疫拒絶によって排除される可能性があることを考慮したためです。

実際は、Muse細胞に関して、これまでの研究により、同細胞が免疫機能を調節して免疫拒絶を逃れる能力ももつ可能性が示唆されていることから、この機能が発揮されるならば、通常の免疫機能をもつマウスでも拒絶されることなく、糸球体修復と機能回復がみられることになります。こうした複数の検証を行うため、研究は2本立てで進められました。

Muse細胞
わずかなMuse細胞の投与で腎機能が回復、将来は点滴治療が可能に?
研究グループは、作製した慢性腎臓病モデルマウスにヒト骨髄由来のMuse細胞を、尾の静脈から投与しました。投与したMuse細胞の数は2万細胞といい、一般的な細胞移植実験で用いられる間葉系幹細胞の投与数が数百万に及ぶことを考えると、かなり少ない数になっています。

ヒト細胞を拒絶しないSCIDマウスからのモデルマウスでは、Muse細胞が腎臓の糸球体が存在する皮質へと選択的に集積していることが確認され、投与して7週間が経過しても多くの細胞が残存していました。他の臓器ではほとんどMuse細胞は検出されていません。

腎臓に生着したMuse細胞は、糸球体を構成する3種の細胞へ自発的に分化、尿蛋白、クレアチニンクリアランス、血漿中クレアチニン、尿素窒素によって腎機能評価を行うと、統計的に有意な機能回復がみられました。

正常な免疫機能をもつマウスからの慢性腎臓病モデルマウスに投与した場合も、ヒトMuse細胞は子宮耐候性細胞へと自発的に分化し、免疫抑制剤を投与しなくとも、静脈投与から5週間後まで、分化したヒトMuse細胞を確認することができたそうです。

しかし5週間後以降は、生着・分化したヒトMuse細胞が排除されていき、それまで確認されていた正常範囲内にまでいたる腎機能の回復も停止、7週間後には再び腎機能が悪化していました。

これはヒトMuse細胞が免疫拒絶され、存在しなくなったために起きた悪化と考えられ、ここからMuse細胞が腎臓に糸球体構成細胞として生着していることが、腎機能の回復に直接寄与していると分かります。またさらに進めた研究で、Muse細胞は糸球体硬化や腎臓の線維化、細胞死も抑制できることも判明しました。

これらの結果から、研究グループでは、Muse細胞を投与することで慢性腎臓病の治療が行え、直接的に組織修復・再生、機能回復をもたらせること、またドナーのMuse細胞が長期間にわたってレシピエントの体内に残存し、回復効果をもたらせる可能性があることが示されたとしています。

Muse細胞は、骨髄や皮膚に存在する腫瘍化の可能性がほとんどない多能性幹細胞という特色があり、安全性の懸念も低く、アクセスしやすい組織から採取できること、免疫調整作用を有するためドナー細胞の活用が可能であることなどから、コストや時間も比較的かからない、実用性の高い点滴による再生医療を実現できる可能性があります。

将来、研究が進めば、糖尿病からの深刻な腎臓病を患う患者さんも、点滴治療で救うことができるようになるかもしれません。今後の動向に期待が集まります。

(画像はプレスリリースより)


外部リンク

東北大学 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/

Journal of the American Society of Nephrology : Beneficial Effects of Systemically Administered Human Muse Cells in Adriamycin Nephropathy
http://jasn.asnjournals.org/

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